活性化へザクロ栽培に挑戦 大崎に移住の樋口夫妻

国産ザクロ栽培に挑戦する樋口夫妻
国産ザクロ栽培に挑戦する樋口夫妻


和歌山県海南市大崎で、珍しい国産ザクロの栽培と産地化を目指して取り組む夫妻がいる。挑戦しているのは、2023年に大阪から大崎に移住した樋口成治さん(53)と由紀さん(45)夫妻。果樹園「大崎うみかぜ園」を営み、温暖で雨が少ない大崎の気候を生かし、5品種、約50本のザクロを育成。ことし、移住3年目にして実が成り始め、地域を巻き込んだ新たな特産品づくりへと一歩を踏み出した。

樋口夫妻は、結婚当初から「いつか地方へ移住したい」と考え、成治さんは海や川の近くでの暮らしを希望、由紀さんは地域活性化につながる事業で起業したいとの思いを抱いていた。

由紀さんは前職で、中東で使われているザクロの加工機械を知ったことがきっかけでザクロに興味を持ち、日本では本格的な生産者が少ない現状から「誰もやっていないからこそ面白い」と国産ザクロの栽培を決意した。

移住先を探す中で、大崎は雨が非常に少なく、乾燥した気候を好むザクロの生育に適していること、海南市はさまざまな果樹に挑戦している人が多いこと、中東では、オレンジの耕作放棄地解消にザクロを育てていることなどから大崎に決めた。

栽培における最大の壁は「病害虫対策」だという。国内でザクロは希少な果樹であるため、使用が認められている農薬が極めて少なく、カミキリムシなどの被害に対し、化学農薬に頼れない。自発的に有機農業に近い方法を選択せざるを得ない状況が続き、試行錯誤を重ねながら、手作業で害虫駆除や水管理、雑草対策を行っている。

まずは気候に適した品種の検証や、自身の手で持続可能な栽培技術の確立を第一目標とし、将来的には、周囲の人と共に収穫量を確保する仕組みをつくりたいという。

ことしは、まだ一般販売を行わず、近隣住民や地域のカフェに試作品として提供し、味やジュースなどの加工用としての適性を確かめる。夫妻の挑戦に地域の高齢者らも期待を寄せており、成治さんは「早くみんなにお届けしたい」、由紀さんは「多くの人に関わってもらい地域と一緒になってザクロを広げていきたい」と話している。