つなげ和工スピリッツ 花園からOBが現役へエール

大会に出場するメンバー
大会に出場するメンバー

かつて聖地「花園」を目指して青春をささげたラガーマンたちが、再び伝統の舞台に集結。11日に東大阪市花園ラグビー場で開かれる高校ラグビーOBチームによる交流大会「マスターズ花園2026」(同実行委員会主催)に、和歌山県立和歌山工業高校が2年ぶりに出場。兵庫県の神戸高校チームと対戦する。(写真は山下さん提供)

同大会は順位決定を行わない交流試合で、安全を最優先するため通常のタックルは禁止。相手の攻撃をタッチで止める特別ルールが採用されている。試合は20分×3本で、1本目は40歳代、2本目は50歳代、3本目は60歳以上と、世代ごとに選手が総入れ替えとなってピッチに立ち、1試合のバトンをつないでいく。

和歌山工業高校ラグビー部は計24回の全国大会出場を誇るが、近年は2018年を最後に全国の舞台から遠ざかり、現役部員に花園の空気を知る者はいない。

同部は27年に創部80周年の節目を迎える。OB会会長の山下弘晃さん(63)は「伝統の和工スピリッツを今の現役に肌で感じてもらい、名門復活へのエールにしたい」と話す。

今回のチームで最大のトピックは、大田朝之さん(71)、茂生さん(61)、浩己さん(59)の3兄弟と、朝之さんの息子・朝紀さん(40)による一族4人の同時出場。親族同士で四つの年代がピッチに立つのは全国唯一とみられ、年齢の巡り合わせから今回が最初で最後の挑戦となる。膝の故障を抱える最年長の朝之さんは「この機会を逃すわけにはいかない」と監督としてチームと一族をけん引する。

一族4人で出場する(左から)大田茂生さん、浩己さん、朝紀さん、朝之さん
一族4人で出場する(左から)大田茂生さん、浩己さん、朝紀さん、朝之さん


大会に出場する50代、60代の多くは強豪時代を戦い抜いた「花園経験者」。一方で、チームを支える40代の若いOB世代は、花園への切符を手にすることができなかった。

山下さんは「かつて花園で戦ったベテランたちの熱量と、聖地への憧れを抱き続ける若い世代が、もう一度一つのチームになって同ラグビー場の第1グラウンドに立つ。これ自体が、わが部の歴史の縮図であり、大きな意味を持っている」と話す。さらに「普段の練習場と違って、メイングラウンドの芝生はラグビー用に長くてふかふか。本当に気持ちがいい。この素晴らしい感触を初めて体験する40代のメンバーたちにも、心から楽しんでほしい」と笑顔を見せる。

チームは8月から毎週土曜日、欠かすことなく全員が集まり合同練習を重ねてきた。普段は競技から離れているOBたちだが、ゲーム形式を中心としたメニューで、現役さながらの闘志をぶつけ合っている。山下さんは「この一戦を通じて、伝統のスピリッツを今の現役につなぎ、秋の県予選、そして名門復活となる花園切符をつかむための大きな励みにしたい」と意気込む。

かつて、熱く激しく泥臭く、勝利を追い求めたラガーマンたちは、チームワークを武器に、聖地での勝利を目指し決戦のピッチへ挑む。