コロナ影響も持ち直し 4月の県内経済情勢

和歌山財務事務所は、2021年4月判断の県内経済情勢報告を発表。総括判断は「新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい状況にあるものの、持ち直しつつある」とし、前回の21年1月から据え置いた。

情勢報告は、個人消費や設備投資など9項目の基調判断を総合して総括判断を行っている。今回は主要3項目のうち生産活動が上方修正となったが、個人消費と雇用情勢は横ばいだった。

個人消費は、百貨店・スーパーで特選ブランドを中心に身の回り品が好調であり、衣料品は低調が続いているが持ち直しの動きがみられる。コンビニエンスストアは、外出自粛の影響により観光地の店舗で落ち込んでいるが、住宅地の店舗では中食商品などが増加し、全体として堅調。ドラッグストアや家電大型専門店も堅調に推移している。

生産活動をみると、機械工業は国内需要が回復傾向にあり、持ち直している。化学工業では衛生製品が引き続き好調で、パソコン、スマートフォン関連製品も海外向けを中心に好調。鉄鋼業はエネルギー関連製品の需要が低調だが、全体としては持ち直しつつある。

雇用情勢は、ことし1月以降、有効求人倍率が1倍を上回っているものの、雇用の先行指標といわれる新規求人数は前期と比べて減少しており、弱い動きとなっている。

企業からは、「著しく客足が減少しており、売上は通常時のマイナス90%程度となっている」(飲食業)、「緊急事態宣言の再発令により客数はかなり落ち込んでいる一方、消費単価は高い水準となっている」(観光団体)、「今後、小売強化のため品種・商品を新しく開発し、個人向けのインターネット販売を行っていく」(卸売業)などの声があった。

先行きについて和歌山財務事務所は、感染拡大防止策や各種政策の効果、海外経済の改善などもあり、持ち直しの動きが続くことが期待されるとする一方、「国内外における今後の感染症の動向、金融資本市場の変動などを注視する必要がある」としている。