和歌山市で生物多様性フォーラム

 生態系を保つため、 環境保護などについて考える 「生物多様性フォーラム」 が17日、 和歌山大学地域連携・生涯学習センター(和歌山市西高松)で開かれ、 東京大学大学院農学生命科学研究科教授の鷲谷いづみさん(61)が 「生物多様性の方向性・価値を考える」 と題し基調講演した。 NPO法人自然回復を試みる会ビオトープ孟子主催。 約200人が聴き入った。

 鷲谷さんは、 国際自然保護連合が出した最新のデータで、 現在生息しているほ乳類の2割、 両生類の3割に絶滅の恐れがあると指摘。 地球の温暖化などさまざまな地球環境問題がある中、 生物が絶滅して多様性が失われることが最も深刻だといわれているとした。 日本でも、 ほ乳類の約200種のうち48種、 両生類の62種のうち21種が絶滅の恐れがあるとし、 「原因は、 開発など人間の活動により、 住む場所を奪われているから」 と言及した。

 また、 生物の多様性が人間生活に役立っていることとして、 マジックテープや新幹線の形状などが、 生物の生態からヒントを得たものであるとし、 「社会の高度化に対応するために、 生物から知恵を借りることができる。 生き物が少なくなれば、 学ぶことが難しくなる」 と生物多様性の重要性を訴えた。

 その他、 県立向陽中学校理科部の生徒が、 日本ユネスコ協会連盟の 「プロジェクト未来遺産」 に認定された、 海南市の 「孟子不動谷生物多様性活性化プロジェクト」 の調査内容について報告した。