出動、搬送2年連続減少 20年和歌山市救急

和歌山市消防局がまとめた2020年中の救急出動の状況は、件数が1万8221件(前年比2267件減)で、2年連続の減少となった。搬送人員も2年続けて減り、1万6532人(同1671人減)。出動件数は一日平均49・9件で、市民の21人に1人が搬送された計算となる。

事故別に出動件数をみると、「急病」が1万1359件(62・3%)でトップ。「一般負傷」が2973件(16・3%)、「交通事故」が1596件(8・8%)と続き、上位3種で87・4%と大半を占めた。1963年に救急業務が法制化されて以降、2014年に初めて一般負傷が交通事故を上回り、19年に続き20年も同様だった。

搬送者の年齢は、65歳以上の高齢者が63・7%に達し、増加傾向が続いている。搬送した傷病者の程度は、「軽症(入院を必要としない)」60・9%、「中等症(20日以下の入院)」33・5%、「重症(21日以上の入院)」4・1%、「死亡」1・5%となった。

救急隊の現場到着までの平均時間は前年より2秒遅い7分46秒、医療機関収容までの平均時間は40秒早い33分21秒で、平成元年(89年)と比べると、現場到着は3分20秒、医療機関収容は18分14秒遅くなっている。

救命率の向上や後遺症の低減を目的に救急救命士が行った、心肺停止前の重度傷病者への処置では、血糖測定を57件、低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与を16件行い、投与した全ての事案で意識状態の改善が認められた。ショック状態の人への静脈路確保と輸液は25件行い、5件で血圧の上昇や意識状態の改善があった。

応急手当の普及講習の実施は110回(前年244回)、参加者は2384人(同7498人)で、新型コロナウイルス感染拡大の影響などで大きく減少。1996年からの普通・上級救命講習の延べ受講者数は約7万3400人となり、市民5人に1人の割合で受講したことになる。

心肺停止状態で搬送した傷病者は379人で、心肺停止の原因が心臓による人が194人。このうち71人は市民(家族や同僚など)の目撃があり、46人が市民による応急手当を受け、7人が社会復帰に至った。

医師が救急車に同乗するドクターカーの運用状況は、出動が283件(前年比214件減)、搬送人数が278人(同76人減)だった。