みんなのまちを巡回 移動図書館に新車両
巡回して本の貸し出しをする和歌山市民図書館の移動図書館の車両が新しくなり、南海和歌山市駅前広場でお披露目された。車の内外には、さまざまな動物たちと本との物語を色鮮やかにデザイン。約1500冊を積み込み、子どもにも大人にも読書の楽しさを届ける。
同市の移動図書館は1981年にスタート。現在は学校や公園などを中心に市内35カ所を巡回している。2002年から市内を巡回していた「パンダ号」は、老朽化と天然ガス車のため維持管理が難しく引退となる。
新移動図書館は、1・4㌧トラックを改造。車体のウインドウサイドパネルを開けると、棚に本がずらりと並ぶ。土足禁止の車内には、ぬくもりのある木材の本棚とベンチがあり、腰をかけて本を読むことができる。夏場はクーラーも稼働するという。
車体のラッピングデザインは、同市民図書館(屏風丁)4階こどもとしょかんの壁画などを手掛ける紀の川市のイラストレーションユニット・ロシトロカ(佐古浩介さん・小夏さん)が担当。「こどもとしょかんにいる動物たちが世界中から集めてきた物語や知識を伝えるために移動図書館車に乗って市民の皆さんに会いに行く」をコンセプトに、モグラやキツネなど同館にいる動物たちが車内外に描かれ、遠くから見ても分かりやすいカラフルな色使いになっている。「パンダ号のように愛されますように」と願いを込めて、親子のパンダも描かれている。
取り扱うのは児童書や一般書。積載できるのは約1500冊でパンダ号の3分の2だが、小型で小回りが利く分、今まで行けなかった場所にも行くことができるようになったという。
1日に行われた出発式には、関係者約20人と近隣の市立伏虎義務教育学校の6年生約80人が参加。同車の披露後、阿形博司市教育長と同館の平井薫館長が、タイヤを酒で清め交通安全を祈願。引退するパンダ号には、小学生たちが紙でできた花と「ありがとう」の気持ちを書いたガーランドを飾り付けた。
2歳の子どもと同車を体験した女性(26)は、「絵本がたくさん。パンダの絵が描いてあってかわいかった」と話していた。
子どもたちの「いてらっしゃーい」の掛け声で市街へ出発した車両は、早速、市立四箇郷小学校に向かい、本の貸し出しを行った。