中野BC「FRAGRANT KISHU―WAKA」
前号から「甘夏」の魅力を取り上げている。今週は、和歌山県産の甘夏を使った香り豊かなエッセンシャルオイルを紹介したい。
製造・販売するのは、海南市藤白の酒造メーカー、中野BC㈱。2015年から「エッセンシャルオイルFRAGRANT KISHU―WAKA」の販売を開始。
きっかけは、有田市で柑橘(かんきつ)の栽培や加工を手掛ける株式会社伊藤農園が、これまで廃棄していた、ジュース造りで搾り終わった果皮を活用できないかと同社へ持ち掛け実現したもの。甘夏の他に、三宝柑、温州みかん、柚子、檸檬(レモン)、仏手柑を販売。
柑橘から精油を取り出すのは容易ではない。果皮を圧搾するのが一般的だが、同社は冷凍した果皮を粉砕し、焼酎づくりのノウハウを生かした水蒸気蒸留法で抽出。20種類もの県産の柑橘の中から香り豊かなものを選抜し商品化。甘夏の場合、5㍉㍑の精油を取り出すために約56個もの果実を使用し、ぜいたくなエッセンシャルオイルが完成した。
使ってみると甘夏ならでは爽快な香りと甘さが部屋中に広がり、心を落ち着かせてくれる。甘夏に含まれる成分「リモネン」には、血行を促進する作用や緊張を和らげる鎮静作用、空気を清浄する作用があるとされ、癒やし効果は抜群。
同社の売店やウェブサイト、キーノ和歌山などで販売。5㍉㍑入りで2200円(仏手柑は3850円)。観光課の妹尾さんは「1年中、柑橘の香りを楽しめます。さまざまな柑橘のアロマで癒やされませんか」と話す。
同社が培った醸造技術と伊藤農園のミカン栽培の技術。廃棄を防ぎ、地域性が高く新たな価値あるものを生み出そうとする強い思いから生まれた商品。いつでもどこでも、和歌山の柑橘にふれられるエッセンシャルオイル。ぜひ、使ってみてほしい。
(次田尚弘/和歌山市)