岸武青果が民事再生法申請 コロナ影響で
青果卸売業者の岸武青果㈱(和歌山市湊北町、代表=岸真寛ほか)が和歌山地裁に民事再生法の適用を申請していたことが14日、分かった。経営悪化に加え、新型コロナウイルス感染拡大による飲食店向けの受注の消失が追い打ちとなり、負債額は約5億7000万円。
帝国データバンクによると、同社は1928年創業、61年に法人改組。同市中央卸売市場内で取り扱われる野菜などを主体に、90年以上の業歴を誇る業者として高い知名度を有し、県内以外にも大阪府泉南市などの量販店やスーパー、飲食店向けに販路を構築。2003年5月期には年売上高約44億円を計上していた。
しかし、その後は直売など市場外取引の増加や主力得意先である量販店やスーパーの合併、再編が続き取引先が減少。2020年5月期の年売上高は約11億円にまで落ち込んだ。
さらに、同業他社との価格競争により収益は低調に推移し、固定費削減などが計画通りに進まず厳しい経営状況を余儀なくされた。経営の建て直しを図り、新規取引先の開拓を進めていたものの、ことし4月以降は新型コロナウイルス感染症拡大により飲食店向けの売り上げが消失したことがとどめとなり、自主再建を断念、民事再生による再建を目指すこととなった。負債額は債権者約30人に対するもので、金融債務が大半。事業については継続中。