県内初のミミズハゼ 県立自然博物館で展示
和歌山県海南市船尾の県立自然博物館の玄関ホールで7月16日まで、紀伊半島で初めて採取されたハゼ科の魚「ミミズハゼ」3種の標本が展示されている。田辺高校自然科学科3年の前田知範さんが、みなべ町の海岸で発見した。
前田さんは2020年2月から9月までみなべ町埴田(はねた)で調査を行い、これまで静岡県や九州の報告のみであったハウチワヤリミミズハゼ、イチモンジミミズハゼ、ミズヒキナガミミズハゼを採集。同施設に持ち込み、学芸員と共に同定作業などを行い標本にして寄贈した。
前田さんは生物部に所属。顧問の宇井大晃教諭の下でさまざまな活動をしている。ミミズハゼ属は、東アジアの沿岸域を中心に分布するハゼ類で、沿岸域から河川下流域、地下水に生息する。しかしミミズハゼ属は分類が混乱しており不明な点も多い。
前田さんは埴田の磯から全部で12種類のミミズハゼ属魚類を記録している。論文は前田さんにとって2報目となり、同施設の平嶋健太郎学芸課長と共に執筆。南紀生物同好会の学術雑誌「南紀生物」に2021年6月10日付で掲載されている。
標本の他、掲載論文や解説パネルなども展示。問い合わせは同施設(℡073・483・1777)。