災害から身を守る 時系列で行動計画を【特集】

災害リスク知り準備を

 

紀伊半島大水害で土石流の被害を受けた那智勝浦町(2011年9月)

紀伊半島大水害で土石流の被害を受けた那智勝浦町(2011年9月)

発令を避難につなげて

9月1日は「防災の日」。ことしは、県南部を中心に甚大な被害をもたらした紀伊半島大水害から10年の節目となる9月が始まる日でもある。いつ襲ってくるか分からない風水害や土砂災害、地震などの自然災害にいかに備えるか。8月中旬にも、3年前の西日本豪雨を上回る記録的大雨が降ったばかり。自分が暮らす地域にはどんな危険があり、いざというときにどう行動し、避難するのかを考え、決めておきたい。

発令時どのように行動したか?

発令時どのように行動したか?

和歌山市では8月17、18日にかけて、和歌浦中で1時間の最大雨量が45㍉に達するなど激しい雨が降った。土砂災害の恐れがあるとして、市は17日午後5時50分から19日午前5時5分まで、三田、西和佐、岡崎、安原、西山東、雑賀、雑賀崎、和歌浦、名草、田野の各地区(一部を含む)の計2万9584世帯・6万3585人に「警戒レベル3 高齢者等避難」を発令し、22カ所に避難所を開設したが、避難したのは6世帯・8人にとどまった。

この事態を受け、市は住民の避難意識を検証するアンケートを実施し、対象地区から抽出した100人を調査した。

「発令時どのように行動したか」は、「特に何もしなかった」が78%で大半を占め、「避難する準備を整えた」が20%、「親戚、友人宅等に避難した」が2%で、発令が避難行動につながらない住民が多かった実態が浮き彫りになった。

避難しなかった理由を複数回答で尋ねると、「もう少し危険が迫ってから避難するつもりだった」が52件で最多。次いで「危険度にかかわらず避難するつもりがない」が16件、「高齢者等避難が発令されていたことを知らなかった」が14件、「どこに避難していいか分からなかった」が8件。

「今後はどのタイミングで避難するか」との質問への回答は、「警戒レベル4 避難指示」が56%で最も多く、「警戒レベル5 緊急安全確保」が32%、「避難するつもりがない」が9%、「警戒レベル3 高齢者等避難」と答えたのはわずか3%だった。

アンケート結果を受け市は、住民への「土砂災害ハザードマップ」の再配布、「防災情報メール」の登録推進などの啓発に努める。

ハザードマップなど居住地域の危険度を知ることができる資料は、各自治体がホームページなどで公開している。災害の危険が迫ったときに早めの行動ができるよう、確認しておきたい。

行動計画をつくろう

 

マイタイムラインの作成例(和歌山市ホームページより)

マイタイムラインの作成例(和歌山市ホームページより)

災害時にスムーズに行動するには、各家庭で「いつ」「何をするのか」を事前に決めておくのが効果的。和歌山市は防災行動計画「マイタイムライン」の作成を呼び掛けており、記入用のシートや作成例、関係の資料をホームページで公開している。

マイタイムラインの作成は、①市が配布している「各種ハザードマップ」で自宅の災害リスクを確認②「大雨のときの避難行動判断フロー図」を参考に、避難先を決める③避難情報や気象情報から避難を始めるタイミングを決める④避難開始までの行動や準備を考える――の4段階で進める。

シートと作成例は、台風の接近、長引く大雨、短期間に急激な豪雨が発生の三つのケースが用意されており、家族構成などに応じて、どの段階で、誰が、何をするのかなどを、細かく記入できるようになっている。