断水補償巡り紛糾 水管橋崩落で和市議会全協

六十谷水管橋崩落による和歌山市北部の断水問題について市議会は20日、全員協議会を開催。市は断水対象世帯や事業者の水道料金を1カ月分減免する案を示し、店舗の休業などに伴う補償は水道賠償責任保険の適用範囲のみで対応すると説明したが、市議からは「市民に到底理解されない」「予算ありきで被害の実態に立脚していない」「特例的に対応すべき」などの意見が噴出し、議論は紛糾した。

市水道事業給水条例は「水道施設の損傷により生じた損害について、管理者はその責を負わない」と定めており、市は賠償責任は本来ないとの法的立場を説明した上で、「断水により市民に大変な不便をかけ、多くのご協力をいただいた」(瀬崎典男公営企業管理者)として、1カ月の水道料金減免案を提示。給湯機器や浄水器などの故障による修繕費、断水に伴う廃棄製造品、廃棄食材などを保険適用の対象例として示した。

市議らは1カ月減免とした根拠などを追及。市企業局は、断水による経費が約1億7500万円、1カ月分減免による減収が約2億2000万円、水道事業会計の本年度の純利益見込みが3億1000万円であることから、この減免案により1億円弱の損失が出るとし、「提示した額が精いっぱい」と説明した。

さらに市議らは、特例的な条例による補償対応なども選択肢にすべきと迫ったが、企業局は現時点で減免案を変更するつもりはないとの答弁に終始した。

崩落した水管橋の本格復旧については、架け替え案の一つを紹介し、来年5月末ごろまでの工期の見通しを示したが、工法などは未決定。21日に始まる有識者による調査委員会に案を提示し、崩落原因究明と併せて検討が進められる。

全員協議会で説明する瀬崎公営企業管理者

全員協議会で説明する瀬崎公営企業管理者