フランス料理を探究 現代の名工に味村さん 

その道の第一人者として活躍する技能者を表彰する2021年度「卓越した技能者(現代の名工)」の厚生労働大臣表彰に、和歌山市のフランス料理シェフ、味村正弘さん(69)が選ばれた。受賞を受けて味村さんは「もっともっと勉強しなければいけない。常に挑戦、研究」と真摯な姿勢を崩さない。

味村さんは日高川町出身。「日本人の味覚に合うフランス料理」を目指し、県産食材や柑橘(かんきつ)類、しょうゆなどなじみのある味を隠し味にするなど創意工夫を心掛ける。食博覧会などで数々の賞に輝き、その卓越した技能が評価を受けている。

味村さんが料理人を目指すきっかけとなったのは、中学3年で始めた洋食料理店でのアルバイト。料理長が振る舞う食事に感動し「こんなおいしいものが食べられるならこの仕事しかない」とこの世界に飛び込んだ。その後、当時まだ浸透していなかった「新フランス料理」を独学で習得。36歳で出場した世界料理オリンピックで金メダルに輝き、「お客さんと僕との間にあるのが料理。もっとお客さんに喜んでもらいたい」とさらに思いを強めた。42歳で独立し、フランス料理店「JOY味村」(同市片岡町)を開店。愛される名店として親しまれる。

県調理師会会長も務める味村さんは、子どもに料理の楽しさを伝える出張教室「キッズシェフ」の開催や、大規模災害時に温かい料理を提供できる体制を整える協定をことし県と結ぶなど、料理を通じた社会貢献にも精力的に取り組む。

味村さんは「関わってくれたみんなのおかげで今の僕がある」と感謝。「料理には100点満点はない。僕にもまだまだ伸びしろはあるよ」と現状にとどまることなく、さらなる躍進を笑顔で誓う。

フランス料理に情熱を注ぐ味村さん

フランス料理に情熱を注ぐ味村さん