和歌山の移民史を知る 全市町村で巡回展

多くの海外移住者を送り出した和歌山の移民史への理解を深めてもらおうと、県主催のパネル展「和歌山と移民~海外へ移住した先人の歴史」が県内全30市町村を巡回する。最初の和歌山市展は5日まで、県民文化会館1階小展示室(小松原通)で開かれている。

県は2019年11月、和歌山をルーツとする海外の県人が故郷に一堂に集う「和歌山県人世界大会」を初開催。今回のパネル展は、23年に予定している第2回世界大会に向けて異文化理解などの機運を高めるために企画され、23年3月まで巡回する。

約30枚のパネルを使い、和歌山が全国で6番目に多い約3万3000人の海外移住者を送り出し、アメリカやカナダ、オーストラリア、ブラジルなどで農業や漁業を中心に過酷な労働に従事し、各国の発展に貢献した歴史を、写真を交えて紹介している。

美浜町三尾地区からカナダ西海岸への移住者の中心となり、故郷に西洋の生活様式をもたらし、「アメリカ村」と呼ばれる基となった工野儀兵衛、紀の川市出身で南カリフォルニア在留日系人の先覚者として県人会の初代会長を務めた湯浅銀之助、和歌山市出身の画家で、太平洋戦争中にアメリカの日系人強制収容所の生活を描いたヘンリー杉本など、代表的な先人の功績も知ることができる。

近年の和歌山と海外県人会の交流、第1回世界大会の様子を記録したパネルも並んでいる。

県民文化会館の会場は午前9時~午後5時。次の巡回は7~22日に岩出市立岩出図書館(根来)となっている。

詳しい問い合わせは県国際課(℡073・441・2057)。

 

和歌山の移民史を紹介したパネルが並ぶ