災害救助へ連携強化 関係機関が合同訓練

和歌山県の海南署と紀美野町、同町消防は、集中豪雨などによる土砂災害に備え、同町動木の町スポーツ公園で、関連機関と災害救助訓練を行った。

同町の防災機関と連携を強化し、災害対処能力を向上させる目的で行われ、近畿管区県情報通信部機動通信課、県警本部警備部機動隊、県警本部刑事部鑑識課の合計46人が参加。

訓練は、同町動木地区の山麓部で土砂崩れが発生したとの想定で実施。集落へ続く町道が土砂で寸断され、民家や車両が土砂崩れに巻き込まれている可能性があるとした。孤立集落の被害を調査するため、同町役場のドローンを飛ばし、映像の伝送は県警の通信網を活用。道路をふさいでいる故障車両の簡易レッカーでの排除や救助者の捜索、救出、警察犬による捜査など関係機関が連携して実施した。

要救助者がいるとみられる倒壊家屋の内部を調査するため、警察が電動ドリルで穴を開け、消防隊が簡易画像探索機で内部を検索。要救助者の状況を確認し、警察部隊がチェーンソーで屋根を切断後、消防隊が倒壊家屋内部から要救助者を救出した。

小川裕康町長は「とても有意義な訓練だった。2018年に台風で谷村が3日間孤立したことがあった。その時はドローンもなく、孤立した住民の安否も分からず、倒木で現地に入れなかった。改めて警察や消防などと連携し、災害に備える大切さを感じた」と話した。

海南署の森川将克警備課長は「地域のことを一番分かっている自治体と情報共有し、早期に救助活動できるよう体制をつくっていきたい。今後も継続して訓練を行っていく」と話した。

訓練開始前には、同町の新人職員を対象にチェーンソーと発電機の使用講習も行われた。チェーンソーを初めて動かしたという職員は「チェーンソーのロックを解除する方法が分からなかった。いざというときに備え、人に任せず自分で扱えるようにしなければならないと思った。今回、学べて良かった」と話した。

救出活動を行う消防署員

救出活動を行う消防署員