県と四川省が友好提携 防災、観光等交流

和歌山県と中国・四川省は26日、友好提携を結んだ。ジャイアントパンダの繁殖研究を通じた四半世紀以上の交流が発展し、青少年や教育、防災・減災、観光、文化、経済など多分野での協力を進めていく。議定書の締結式は県庁と省都・成都市をオンラインで結んで開かれ、仁坂吉伸知事と黄強省長が署名した。県と中国の省との友好提携は、1984年4月の山東省に続いて2件目。

四川省は中国西南部の内陸に位置し、面積は48・5万平方㌔(日本の1・3倍)、人口は8367万人(2020年)。電子情報産業や食品加工業、紡績工業などが盛んで、省内GDPは国内第6位の4兆8598億元(同年)に達している。

古くは3000年以上前の長江文明や三国志の蜀が栄えた歴史ある地域で、パンダの生息地として保護区が設けられ、九寨溝(きゅうさいこう)や峨眉山(がびさん)など世界遺産に登録されている景勝地も多い。

和歌山との交流の端緒は、1994年に始まった白浜町のアドベンチャーワールド(AW)と成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地によるパンダの共同繁殖研究。世界最高レベルの繁殖実績を誇り、AWは中国以外で最も多くのパンダが飼育されている。

2008年5月に発生した四川大地震では、県選出の二階俊博元自民党幹事長が与党有志議員団の代表として被災地を訪問し、救援物資を贈っており、18年にも犠牲者の慰霊に訪れている。

県によると、友好提携は、19年10月に四川省を訪問した仁坂知事に省側から締結の打診があり、正式な提携の前に、20年3月には友好交流発展のための覚書を交わした。新型コロナウイルスの世界的流行により、対面の交流は困難な中、オンラインも活用して青少年交流などの実績を重ね、不足していた医療物資を相互に贈り合うなどしてきた。

議定書の締結式で黄強省長は、日中国交正常化50周年の節目に友好提携に至った意義を強調し、青少年交流の強化により、双方の友好事業を次の世代に伝えていくこと、特産品の展示会や企業間のマッチングなどの実務協力の推進により、互恵関係を築いていくことを表明。「千里離れていても心が一つであれば友情は金石より固い。友好提携により、双方の友好関係を新たな段階に引き上げられると確信している」と述べた。

仁坂知事は「双方の文化や歴史、自然といったものを、お互いの住民が享受できるようになれば素晴らしい」と期待。実務協力は特産品、観光、防災など多様な領域で考えられるとし、「話し合い、具体的に実施していくことが望まれる」と述べた。さらに、紀三井寺の境内に建つ廖承志・中日友好協会初代会長の碑「中日友好千年萬年」を紹介し、「われわれもその流れの一つの要素となって、友好を盛り立てていきたい」と話した。

二階衆院議員、日中両国の大使らが祝福のビデオメッセージを寄せ、式典は厳粛な中にも和やかさをたたえて進み、仁坂知事と黄強省長が議定書に署名を終えると大きな拍手に包まれた。

署名を終えた議定書を手に笑顔の仁坂知事㊥

署名を終えた議定書を手に笑顔の仁坂知事㊥