クマノザクラの保全へ 県林業試験場が研究
紀伊半島南部に生息し、2018年に約100年ぶりに新種として発見されたクマノザクラを保全しようと、和歌山県上富田町の県林業試験場は苗木づくりの研究を進めている。
クマノザクラは和歌山、奈良、三重の3県に生息。和歌山県内では日高川町、みなべ町、田辺市など11市町村で確認されている。早咲きが特徴で、ヤマザクラが4月中旬から下旬、カスミザクラが4月下旬に開花するのに対し、クマノザクラは3月中旬から4月上旬に咲く。花は鮮やかなピンク色。
同試験場はクマノザクラの保全や活用に向け、2019年度から挿し木と接ぎ木による苗づくりの研究を開始。挿し木調査では成木を使用するより幼木の方が発根しやすく、挿し付け後の水やりは毎日行うより各日に行う方が発根率が高いことを明らかにした。
接ぎ木は種から育てたサクラ類の苗木(台木)にクマノザクラの穂木を継ぎ足す方法で、ヤマザクラ、オオシマザクラ、クマノザクラの3種類の台木で行った結果、ヤマザクラとクマノザクラの活着率が高いことが分かった。
今後は観賞用としての優良候補木の選抜を行う。