腐食対策など検討へ 六十谷水管橋調査委
和歌山市の六十谷水管橋崩落に関する専門家による調査委員会の第2回会合が1日、市役所で開かれた。市企業局は、先月引き上げた落橋部分の調査により、18本のつり材のうち風対策の部材を後から取り付けた10本全てが腐食、破断していたとし、後付け部材周辺などの著しい腐食を把握できていなかったことが落橋の原因との分析を示した。
調査委の開催は昨年10月21日以来。座長の鍬田泰子・神戸大学大学院工学研究科准教授ら4人の委員はオンラインで出席した。
市の分析による崩落の過程は、多数のつり材やつり材とアーチ材との接続箇所が連鎖的に破断し、水道本管が中央部の折れ曲がりを伴って落ち、その落下によりアーチ部材が曲がり、溶接部が破断し、橋全体が落下したとしている。
六十谷水管橋は1975年の完成後、76年につり材に多数の亀裂が見つかり、77年に風の影響を軽減する補強工事を実施。78年に再び亀裂が確認されたため、80年に現在と同じ構造となる再補強工事を行った。腐食を抑える塗装の更新は93年の実施が最後だった。
腐食は後付け部材の接続部や凹凸部、溶接部で進み、そのメカニズムとして、塗装更新の遅れ、塗装による抑制効果の限界、鳥のふん害、塩害、土や砂をはじめとする物質の付着の他、後付け部材を取り付けた箇所が風による振動の影響で劣化が早まったことも考えられる。
委員からは、落橋部の10本のつり材の破断が落橋前からのものか、落橋の衝撃で起こったものか確かめる方法はないかとの指摘の他、どの程度の期間で塗装の更新が必要になるのか分かる調査を求める意見、復旧後に新旧部分が混在することになる水管橋の維持・管理の課題の調査が必要との意見もあった。
市は委員の指摘を踏まえ、腐食部の詳細な調査などを進め、落橋原因のさらなる分析、腐食などへの必要な対策を具体化していく。調査委は当初、本年度中に開く第3回で終了を予定していたが、最終報告は来年度以降に持ち越される見通し。