爽やかな香り「シークヮーサー」
前号では、海外からの輸入品が一般的でありながら、県内でも生産される、国産グレープフルーツを取り上げた。温暖な地の利を生かし、県内では他にも珍しい柑橘(かんきつ)が栽培されている。今週は沖縄県特産のシークヮーサーを紹介したい。
シークヮーサーは沖縄県特産の柑橘。国内で生産されるほぼ100%が沖縄県だが、鹿児島県(徳之島)や、和歌山県内でわずかながら栽培されている。
名前の由来は、沖縄の方言で酸っぱいを意味する「シー」と、食べ物や食べさせるという意味の「クヮーサー」を合わせたもの。柑橘としての正式な名称は「ヒラミレモン(平実レモン)」という。
直径は4㌢程度と小さく、緑の果皮からカボスを連想させる。輪切りにしてみると薄皮で、中心にやや多めの種がある。酸味のある爽やかな香りが漂い、果汁も多い。
シークヮーサーの特徴は食べ頃が3回あるところ。8~9月ごろは果皮が青く、酢の物に適し、10~12月ごろは果汁を搾ってジュースに。年が明けると果皮が黄色になり実が熟することから生食用として食べられる。
特徴は他にもある。ポリフェノールの一種である「ノビレチン」の含有量が、温州みかんの約10倍あるとされる。また、同じく含まれる「タンゲレチン」には抗酸化作用や抗炎症成分、抗がん作用やコレステロールの抑制効果が期待できるといわれる。
年間の約半分の期間をさまざまな形で楽しめるシークヮーサー。見掛けたらぜひ購入し、その味わいを試してほしい。(次田尚弘/和歌山市)