「柔軟な対応を」 JR西収支公表で知事
JR西日本は11日、赤字となっているローカル線の一部、17路線30区間の収支状況を初めて公表し、沿線自治体などと今後の在り方を議論したいとの意向を表明した。和歌山県内では紀勢線の新宮―白浜間が含まれ、仁坂吉伸知事は「地方路線の切り捨てありきで見直しを進めるのではなく、地域資源を活用した利用促進などの柔軟な対応を行うべき」と苦言を呈している。
JR西が公表したのは、輸送密度(一日の平均通過人員)が2000人未満の区間。新宮―白浜間の輸送密度はコロナ禍前の2019年度が1085人で、1987年度の4123人から約4分の1に減少。経費に対する収入の割合を示す「収支率」は17~19年度の平均で19%。同期間の赤字額の平均は28億6000万円に上っている。
JR西側は、代替交通手段への切り替えや、自治体が鉄道資産を保有して運営を民間事業者が行う「上下分離方式」も視野に入れた検討を呼び掛けた。
仁坂知事は同日、「鉄道は、路線ごとに採算を合わせる必要はなく、黒字路線の収益を赤字路線に配分するなど、全ネットワーク維持の方向で考えるべき」とのコメントを発表。
さらに12日の定例記者会見では、新宮―白浜間は観光路線でもあり、需要が高まりつつあったところにコロナ禍で打撃を受けたとし、県の提案で紀勢線に導入された「サイクルトレイン」を例に、「(利用促進策など)いろんなことを一緒に考えないといけない」と話した。