熊野古道の一部を破損 NHK発注工事で
和歌山県教育委員会は15日、高野町内のテレビ中継放送所の設備更新工事に伴い、世界遺産を構成する「高野参詣道女人道」に無許可で土のうが敷き詰められ、路肩や丸太階段の一部を破損したと発表した。工事はNHKが発注し、文化財保護法違反の疑いがある。県教委は文化庁や町教委と協議し、「現状復旧を図るとともに、法令に基づき厳正に対処する」としている。
県教委によると、現場は高野山大学から南に約600㍍の山中。NHKから工事を受注した施工会社は、国史跡である女人道の約200㍍の区間の大部分に土のうを敷き詰め、その上をキャタピラが付いた運搬機を走らせて資材を運搬し、通行部分を破損させたとみられる。土のう設置は文化財の現状変更に当たるが、申請の手続きはしていなかった。
13日午前、史跡地内を調査中の県世界遺産センター職員が現場を発見し、町教委に問い合わせ、無許可だったことが発覚。県教委が現場を確認し、14日に施工業者に工事の中止を指導した。NHKは「必要な許可を得ず作業を行い、貴重な文化財を破損してしまったことを深くおわびいたします。関係機関の指導に従い、修復などに適切に対応してまいります。改めて文化財の保護を徹底します」とコメントしている。