ドライバーが地域防犯 県警と佐川急便が協定
和歌山県警と佐川急便㈱は26日、地域安全に関する協定を締結した。防犯CSR(企業の社会的責任)に意識的に取り組む県警生活安全企画課と、社会貢献に意欲的な同社の思いが一致し、協定をもとに安全安心な社会の実現を目指していく。同社と都道府県の県警本部が協定を結ぶのは全国で初めて。
協定により、県内の4営業所(和歌山、高野口、田辺、新宮)の管理職約30人が県警の電子メール配信サービス「きしゅう君の防犯メール」に登録。不審者情報などのメールを受信した際には、同社が使用する共有ネットワークでエリア内の営業所のドライバーを含めた全社員にメールを転送し、不審者を発見した場合は速やかに通報するよう呼び掛ける。
締結式は県警本部で行われ、県警本部の髙砂浩之生活安全部長と同社の須田充一支店長が協定書に署名。髙砂部長は「安全安心の向上につながる」と感謝し、須田支店長は「社会の安全安心に貢献することは社会的責務。力になれるよう、最大限の努力をしたい」と意気込んだ。
式終了後、相互の連携を強化するため、同市栗栖のローソン栗栖店の駐車場で不審者発見・通報訓練を実施。訓練は、和歌山営業所から各ドライバーに情報を発信するところから始まり、同店に荷物を配達したドライバーが、駐車場内で不審者情報に似た男を発見したとの想定で行われた。
ドライバー役で参加した同営業所安全推進課の主任、辻本智之さんは、メールの情報と照らし合わせながら不審者を確認し、速やかに110番通報。現場に駆け付けた警察官に不審者の情報などを共有した。
訓練後、辻本さんは「思っていた以上にスムーズにいけた。通報は勇気がいるけれど、犯罪を未然に防げる一助となれるのはうれしい」と笑顔で話した。
同課は今月、すでに同営業所で特殊詐欺に関する出前講座を開いており、県内の3営業所でも来月開催する予定。また協定締結を機に、各営業所の入り口に「きしゅう君の家」、自社車両約280台に「きしゅう君の車」のステッカーを掲示しており、情報共有しながら連携を強めていくという。