景況判断上昇に転じる 社経研の県内企業調査
和歌山社会経済研究所の景気動向調査で、2022年4~6月期の県内企業の自社景況判断は、「良い」と答えた企業から「悪い」と答えた企業の割合を引いたBSI値はマイナス14・5(前期比12・3㌽上昇)となった。新型コロナウイルスの第6波が収束し、上昇に転じたものの、原材料価格高騰や第7波への懸念は強まり、7~9月期の見通しはマイナス13・4(同1・1㌽上昇)にとどまっている。
調査は県内企業2000社(建設業200、製造業400、商業600、サービス業800)にアンケートで実施し、811社から回答を得た(回答率40・6%)。
4~6月期の景況BSIを産業別にみると、建設業マイナス13・4(前期比12・3㌽下降)、製造業マイナス10・5(同12・7㌽上昇)、商業マイナス27・6(同9・0㌽上昇)、サービス業マイナス6・5(同22・6㌽上昇)で、建設業以外は上昇した。
7~9月期の見通しは、製造業がマイナス13・3に悪化、サービス業がほぼ横ばいのマイナス6・0で、建設業はマイナス11・1、商業はマイナス23・2に改善を見込んでいる。
建設業の景況BSIは2期連続で二桁の下降幅となった。例年、公共工事の出来高が少ない時期であり、第6波が収束に向かったものの、コロナ禍による民間工事の先延ばしの動きが継続。塗装工事業、鉄鋼・鉄筋工事業などの職別工事業と設備工事業では業績改善の動きがみられなかった。
製造業は、景況BSI、売上高BSIともコロナ禍前の水準まで回復したが、原材料価格高騰の影響は大きく、収益BSIは依然として低い。価格転嫁の動きが広まる一方で、十分な転嫁を行える事業者は少なく、収益圧迫の要因となっている。
商業は、衣料品小売業や飲食料品小売業などで景況BSIが上昇したが、飲食料品卸売業などでは原材料価格上昇の影響が深刻化し、景況BSIは2期連続で下降した。
サービス業の景況BSIはコロナ禍以降の最高水準を更新。第6波が収束に向かい、人出や観光客の増加もあり、運輸業や旅館・ホテル業、飲食業など幅広い業種で改善した。しかし、先行きは不透明感が強まっている。
地域別の景況BSIは、和歌山市マイナス12・6(前期比10・8㌽上昇)、紀北マイナス17・7(同8・4㌽上昇)、紀中マイナス10・6(同18・4㌽上昇)、紀南マイナス18・0(同15・1㌽上昇)で、そろって大幅な上昇となった。
経営上の問題点は、前回2位の「原材料価格の高騰」が31・8%でトップ。2位は前回1位の「売上不振」が29・9%。次いで「人材不足」16・0%、「設備の老朽化」5・9%だった。