定期受診のきっかけに 日曜乳がん検診16日

NPO法人J.POSH(ジェイ・ポッシュ)が年に1度実施している、日曜に受けられる乳がん検診「ジャパン・マンモグラフィー・サンデー(JMS)」が16日、全国の賛同医療機関で行われる。和歌山県内では和歌山市、橋本市、御坊市、田辺市、岩出市の5市6カ所で実施。2019年から毎年参加している和歌山市三葛のさくらい乳腺外科クリニックの櫻井照久院長(53)は「今後、定期検診を受けるきっかけづくりになれば」と期待を込める。

JMSは、子育てや仕事などで平日に検診を受けるのが難しい女性が、休日の日曜に乳がん検診を受けられるよう、全国の医療機関と同NPOが協力して09年にスタートした取り組み。

乳がん啓発強化月間である10月の第3日曜にマンモグラフィー検査を実施しており、本紙エリアでは同クリニックの他、中江病院(同市船所)、はた乳腺クリニック(岩出市川尻)が賛同医療機関に登録されている。

さくらい乳腺外科クリニックの櫻井院長によると、乳がんは日本人女性の9人に1人がかかるとされ、女性にとって最も身近な悪性疾患。20歳前後から発生が認められ、30代で増加、40~60代前半までがピークとなるが、その後も依然として高い発生率で罹患(りかん)するという。

櫻井院長は「乳がんは早期発見すればほぼ治る」と早期発見・早期治療の重要性を訴える一方、コロナ禍における受診控えの影響を懸念。コロナ前と比べて「進んだがんが多い印象」とし、「自身で触って確認するセルフチェックとともに、検診を受けることが大切」と話す。

同クリニックは乳腺専門医による日本乳癌(がん)学会が認定する乳腺専門クリニック。マンモグラフィーの他、エコーや触診を実施している。乳癌(がん)学会専門医の櫻井院長がエコーを行い、マンモグラフィーは女性の認定技師が対応。検査後すぐに結果が分かる。

市町村の検診にも適応し、和歌山市民の場合、40~69歳が2000円、70歳以上は1000円。同市無料クーポン、岩出市と紀の川市の住民検診の対象項目は無料。市町村の検診では対象外の妊娠中、授乳中、豊胸後の人も受診可能。

保育士資格を持った従業員2人が常駐し、キッズスペースもあるため、子ども連れでも安心して利用できる。放射線技師の櫻井真知さん(42)は「『来てみたら案外簡単だった』『もっと早く来れば良かった』という声も多いので、気になったら年齢に関係なく気軽に受診してもらえれば」と笑顔。

櫻井院長は「女性は家族の中で大事な存在。家族のために自分のことを後回しにしてしまいがちな人も多いが、これを機に、家族のためにも自分の体を大切にしてほしい」と受診を呼び掛けている。

予約や問い合わせは同クリニック(℡073・448・3366)。

 

笑顔で受診を呼び掛ける櫻井院長㊧と放射線技師の櫻井さん