海中ロボで資源調査 和歌山市加太で
持続可能な漁場の育成を目指し、和歌山市の加太漁業協同組合は22~24日の3日間、東京大学、市と連携し、友ヶ島周辺海域の海藻の資源状況、市が海底に設置した漁礁の状態などを、海洋ロボットを使って調査する実証実験を行った。
加太では、水産資源の維持に配慮した漁法の実施、稚魚の放流、漁礁の設置などに取り組んでいるが、海中のため、効果を直接確認することは困難。そこで、ロボットで海底を撮影し、状況を観測する手法の有効性を立証するため、今回の実験となった。
国土交通省の「海の次世代モビリティの利活用に関する実証事業」の選定を受けて実施。市と東大生産技術研究所は2018年3月に連携協定を締結し、これまでも加太地域で地域活性化や海洋環境の調査などの取り組みを進めており、今回の実証実験にも共同で参加した。
実験は同研究所の巻俊宏准教授と学生らが行い、プログラムに従って操縦を必要とせずに動く自律型海中ロボット「AUV」、超音波でAUVの位置を把握し、監視しながら追尾する自律無人ボート「ASV」を使用。いずれも小型漁船から投入できるコンパクトな大きさで、友ヶ島を構成する4島の一つ、地ノ島の南側と北側の海域で海底画像を撮影した。
今後、撮影データを基に海底画像マップを作成し、ヒジキやワカメ、テングサなどの繁茂の状況、漁礁の状態などを解析する。12月19日には、同漁協で成果報告会を行う。
巻准教授は「海底の生物資源量が分かるデータが取れ、漁業者に役立つと言ってもらえる成果になればうれしい」と話していた。