一流の技を伝授 フェンシング東莉央さん
和歌山市出身で東京五輪フェンシング女子「フルーレ」日本代表の東莉央さん(24)が24日、同市手平の和歌山ビッグウエーブで地元の小学生たちにフェンシングを指導。オリンピアンと交流した児童たちは、夢に向かって果敢に攻めていくことを学んだ。
東さんから指導を受けたのは、国際舞台で活躍できるトップアスリートを育てる県の「ゴールデンキッズ発掘プロジェクト」の4年、5年生のメンバー計44人。
同事業は2006年度にスタート。体力測定などの選考会で選ばれた児童が対象で、4年生から6年生までの3年間で発達段階に応じた多彩な育成プログラムを体験。身体能力だけでなく精神面も鍛え、食に関する知識なども身に付けている。フェンシングは、スペシャルプログラムとし、普段している競技とは違う種目を体験することで視野を広げてもらおうと企画。
同日午前の部では、東さんや県フェンシング協会の山口徹さんら4人が、5年生で第15期生のゴールデンキッズ20人を指導。
空間認知力を鍛えるため、風船を落とさないよう、運ぶ動きなどで体を温めた後、東さんが、東京五輪で出場したフルーレを実践。オリンピアンの華麗な剣さばきに児童たちからは歓声が上がった。
児童たちは、東さんらから「前へ、後ろへ」と剣の突きと手足の動きなどフェンシングの基礎を学び、実践へ。練習用のマスクと剣を手に、児童たちは、足を使って果敢に攻めるなど持ち前の身体能力の高さを生かして勝負。一瞬も気が抜けない試合の厳しさを体験した。勝敗がついた後は、互いの剣をクロスし、「サリュー」とあいさつ。マナーを重んじ、紳士のスポーツとも評されるフェンシングの楽しさや礼儀を学んだ。
普段はバレーボールと陸上をしている同市の中村宗介さんは「接近戦が難しかった。オリンピアンに指導してもらい、フェンシングにも興味が出た」と笑顔。野球をしている日高町の岩橋花歩さんは「あいさつの大切さ、積極的に攻めるという気持ちなど学ぶことが多かった」とにっこり。
児童らと同じ小学5年の時からフェンシングを始めたという東さんは「現役で、人に教える機会が少ない中、地元の子どもたちに指導でき、とても良い経験になった」と話していた。