親子の絆深めながら うるわし館で蒔絵体験
海草地方青少年育成推進員等連絡協議会は15日、紀州漆器伝統産業会館うるわし館で「親子で蒔絵(まきえ)体験」を開いた。
社会が豊かで便利になる中、子どもたちの自然体験や生活体験などが減少することを受け、さまざまな活動を通して心身ともにたくましく成長し、親子の絆を深めることを目的に、公益社団法人県青少年育成協会支援金を受けて、体験事業を実施。
海南市と紀美野町に在住、在学する小学生とその保護者を対象に募集、255組の応募から抽選で24組48人が参加した。
蒔絵は、漆器の表面に色の付いた粉をのり代わりになる漆で絵を描き、その上に金や銀の粉を撒き絵模様をつける。体験では、弁当箱と箸箱に蒔絵を施していく。漆の代わりに塗料を使用し、赤金や青金、緑色など7色の粉で制作した。
参加者はサクラや金魚など好きな弁当箱の絵柄を選び、のりがはみ出さないよう筆を使い丁寧に描いていった。
筆でのりの外側に粉を蒔き、ほうきで掃くように重ねる。単色やグラデーションなど好みの色の粉を乗せ、余分な粉を払い落とすと完成。出来上がりに子どもたちは「おーきれい」と、笑顔だった。箸箱には、おにぎりや星、昆虫などオリジナルの絵柄を描いた。
同市から参加した稲井涼裟(りょうさ)さん(8)は「はみ出さないように塗るのが難しかったけどママと一緒にできてうれしい。早くお弁当を持っていきたい」とにっこり。母親の稲井由理香さん(50)は「細かい作業で手が震えた。粉を払ったとき金魚のグラデーションがきれいで子どもが喜んでいた。とてもいい体験ができた」と話した。
県青少年育成協会、青少年育成県民運動、推進委員会連絡協議会の辻敏弘会長は「体験を通じて、伝統文化を子どもたちに知ってもらいたい」と話した。