少年少女に寄り添う 水上愛さんNPO設立
一人でも多くの少年少女に寄り添い、笑顔にしたい――。和歌山県岩出市波分のNPO法人amoure spoir(アモーエスポワール)の理事長、水上愛さん(35)は、全国の中高生らから寄せられるDVや援助交際(パパ活)、貧困、いじめによる孤立、引きこもりなどの悩みに寄り添い、時には自らの経験を話すなど、できる限りのアドバイスとサポートを行っている。
水上さんは静岡県牧之原市在住。3年ほど前からコミュニケーションアプリ「LINE(ライン)」のオープンチャット機能を使い、悩みや相談を受けるようになった。
現在も10代の少女4~5人と常に連絡を取り合っており、「親から笑顔が増えたって言われた」「笑えるようになった」などと話す少女らの笑顔を見るのが一番うれしいとほほ笑む。
しかし、悩みを打ち明ける若者の中には、手首を切るなどの自傷行為や、「もう生きていることがしんどい。死にます」と言った後に連絡が取れなくなるケースもあるという。
より継続的な支援を行うため、岩出市の保護司、池上真さん(57)の協力のもと、昨年7月に「アモーエスポワール」を設立し、11月に法人化。支援の幅を広げ、12月には少年少女らが集まって飲酒や喫煙などの非行が横行しているとされる大阪・ミナミの「グリコ」の看板下の遊歩道、いわゆる「グリ下」で初の巡回相談を実施した。
水上さん自ら、グリ下にいた女子高校生らに「悩みがあったら連絡してね」などと声を掛け、相談先などが書かれた名刺を手渡したという。
今月末には東京・歌舞伎町の東宝シネマズの横、「トー横」でも巡回相談を予定するなど、これまでのラインやSNSを通した相談を続けながら、直接的な支援も積極的に行っていきたいと話している。
少女らの悩みの多くはネット社会の影響によるものが多いとし、水上さんは「悩みのほとんどは私たち大人の責任」ときっぱり。自身も親の離婚をきっかけに非行に走り、犯罪に手を染めたことも。自傷行為をしたり、何度も自殺を考えたりした時期もあり、「今生きているのは、何でも話せる友人や家族の存在があったから」と振り返る。
社会問題化する〝さまよう〟少年少女たち――。自身の過去ともかぶる彼らに必要な「何でも話せる」「本音を聞いてくれる」存在を目指し、「行政にはできない、行政が関わらない部分で少しでも役に立ちたい」ときょうも少年少女の悩みに寄り添う。
より継続的な支援にするため16日から、社会課題解決型の寄付クラウドファンディング「GIVING100(ギビングハンドレッド)」で支援を募っている。2月15日まで。目標金額は50万円で、主に相談事業の交通費や通信費に使われる。
水上さんは「人ごとと捉えず、みんなが楽しく過ごせる社会になるように少しでも助けていただければ」と呼び掛けている。詳細は同法人のホームページから。
問い合わせは同法人の事務局(℡080・4233・8151)。