75年の歴史に幕 粉河高の定時制、閉課程式
和歌山県紀の川市粉河の県立粉河高校定時制課程の閉課程式が1日、同校体育館で行われた。最後の卒業生となる18歳から20歳までの生徒6人や同窓生、教職員など約60人が見守る中、75年の歴史に幕を下ろした。
同校の定時制課程は1948年4月、全日制課程が学制改革で男女共学となった、同年10月に設置。働きながら学べる場として、初年は分校2校を含め計126人が入学した。94年には、従来の4年間から3年で卒業可能となる「三修制」を導入した一方、少子化などの影響を受けて生徒数は年々減少。今月31日をもって閉課程することが決まった。生徒募集は2021年度から行っていない。卒業生は、本年度を合わせて計1344人。
式辞では、城秀憲校長が「歴史に幕を閉じるのはまことに残念だが、長きにわたり発展に努められた人々に心より感謝する」と謝辞。
定時制課程最後の卒業生で、生徒会長を務めた宮野友弥さん(18)はコロナ禍で学校行事が縮小されるなど、さまざまな制約を受けたことを振り返り、「早朝働き、夕方から通学し、しんどい時、くじけそうな時もあったが、仲間と切磋琢磨(せっさたくま)し、先生方が親身に寄り添ってくれた。3年間で自分を鍛え、磨き、自信を持つことができた」と述べた。
式後は、同校玄関前中庭で、関係者らが記念碑を除幕。卒業生らは、定時制課程の沿革史が刻まれた碑を感慨深げに見つめていた。
宮野さんは仲間と過ごした3年間の思い出を「みんな働きながら通っていたので、お互いに勉強を教え合い、職場の相談もし合った」と語り、「今後は皆さんの役に立つような公務員を目指したい」と笑顔で話していた。