那賀地方を中心に栽培「いちご」
前号まで、伊都地方が誇る和歌山県産の柿について取り上げた。今週からは那賀地方を中心に栽培が盛んな和歌山県産のいちごを紹介していきたい。
和歌山県における、いちごの栽培は昭和30年ごろに始まったとされる。北部の紀の川流域や沿岸部など県内で広く栽培され、主な品種は和歌山県農業試験場が育成したオリジナル品種「まりひめ」や全国的に知られる「さちのか」となっている。2007年産野菜生産出荷統計によると、県内の栽培面積は57㌶。全国のいちごの栽培面積は約5000㌶であることから、全国で比較すると1%程度の面積となっており、いちごの一大産地というわけではない。
いちごの栽培は7月ごろから始まる。苗を植え付け、つるのように伸びるランナーという茎を出した後、苗をポットに植え、本葉が4枚程度になるよう下葉を取り除いて育てる。9月になると畑に定植し、一つのうねに2列に植え付け、10月にはハウスにビニールを設置。開花が始まるとミツバチを放ち、受粉を行う。夜間は照明を当て、いちごが眠ることがないよう、日を長くする工夫が必要で、昼間は25度、夜間は6度以上になるよう温度管理を行う。収穫は12月から翌年5月ごろまで。赤くなった実から収穫し、出荷していく。
いちごは栄養が豊富で、ビタミンCはレモンに匹敵するほど含有。免疫力を高める効果があり、感染症対策や皮膚を丈夫にする働きが期待されている。食物繊維の一つであるペクチンも多く含まれ、便秘や高脂血症の予防に有効とされる。他にも、葉酸は動脈硬化による心筋梗塞や狭心症を防ぐ効果があるなど、健康につながる、さまざまな要素が含まれている。
県内では、まりひめやさちのかの他にも多くの種類のいちごが栽培されている。お気に入りのいちごを見つけ、おいしく味わっていただきたい。(次田尚弘/和歌山市)