モデルロケット指導講師に 桐蔭中の2人
和歌山市吹上の県立桐蔭中学校2年、科学部の藤木翔太さん(14)と藤村一颯(いぶき)さん(14)の2人が、2月に埼玉県で開かれたモデルロケットの「指導講師ライセンス」の取得に挑戦。モデルロケットに関する筆記試験や、モデルロケットの組み立てや打ち上げといった実技試験にそろって合格し、全国初の中学生モデルロケット指導講師が誕生した。
同ライセンスは、日本モデルロケット協会(埼玉県)が1995年から発行しているもので、受講には第3級ライセンス以上の保有が必要。全国の資格取得者は1000人を下回り、うち8割以上を教員が占めているという。
2人はこれまでも同部顧問の藤木郁久教諭のもと、モデルロケットの製作や打ち上げ、子どもから大人までを対象にした「モデルロケット教室」のサポートも積極的に行ってきた。
同ライセンス保有者から指導を受けると第4級ライセンスを取得できることから、2人は「後輩や子どもたちにモデルロケットの楽しさを伝えて、ライセンスを取ってもらいたい」との思いで、今回取得に挑んだ。
当日は研修後にロケット工学と火薬類取締法の筆記試験があり、実技試験では20分の制限時間内にモデルロケットを正確に組み立て、打ち上げ場所の設営と安全な打ち上げ、回収を2回行った。
この日は風が強くて寒かったため、2人は打ち上げ時に手がかじかんで設営に苦戦。さらに、使用するモデルロケットのエンジンもこれまでに使ったことのない火力の弱いタイプが指定された。
普段なら約100㍍の高さまでモデルロケットを飛ばせるが、今回のエンジンでは25㍍ほどしか上がらず、「高く飛ばない分、パラシュートが開ききらずに落ちてしまうのでは」と不安を抱えながら実技に臨んだという。
2人にとって悪条件ともいえる状況の中、先手を務めた藤村さんが打ち上げたモデルロケットは真っすぐ上がった後、きれいにパラシュートが開き、風に流されることなく着地。自らも「100点満点だった」と振り返り、藤木さんも「理想的な打ち上げ」とたたえる。
「器用じゃないので自信がなかった」という藤木さんのモデルロケットもきれいに飛び、2人そろって見事ライセンスを取得。「ほっとした」と話す2人を前に、藤木教諭は「ぜひモデルロケットを広めていってほしい」と期待を寄せる。
藤木教諭は本年度、県内でモデルロケット教室を計16回開催。子どもから大人まで約260人が参加した。指導講師のライセンス取得を受け、今後は2人が中心となって同教室を開くことも可能に。
藤木さんは「子どもや後輩たちを対象に、楽しく面白いワークショップを開いていきたい」、藤村さんは「指導講師としてしっかりと教え、たくさんの人にとってモデルロケットを飛ばす貴重な機会がすてきな思い出になればうれしい」と笑顔で話した。