友達づくりに 在住外国人と交流イベント
和歌山県内で暮らす外国人向けに、まだ使える生活用品などを無料で提供する「ゼロエンマーケット」が14日、紀の川市の粉河駅前にある登録有形文化財「古民家山﨑邸」と、協和プレス工業の社員寮「とんまかスクエア」で開かれた。県内在住の外国人に気軽に友人をつくってもらい、意見交換できる場になればと、JICA青年海外協力隊のOBなどで作る団体、和歌山青年海外協力協会(WOCA)が主催。多文化共生の地域づくりに向けて、交流の輪が着実に広がっている。
同協会会員の中嶋悦子さんが中心となり「地域の人と外国人が交流する場をつくりたい」と昨年9月から同市でマーケットを企画し、今回で3回目となる。
中嶋さんは2010年から12年まで、協力隊員としてネパールで女性の自立支援のために活動。「地元のおばちゃんと一緒に語り、紅茶を飲むのがホッとする時間だった」と振り返る。
「外国人にもそういう体験をしてほしい、地元で安心できる友だちをつくってもらいたい」と思ったのが、企画のきっかけだという。
イベントは回を重ねるごとに輪が広がり、協力する人や団体も増えている。提供される商品は広く寄付を呼び掛け、軽トラック約5台分が集まったという。英語で書かれた地域の行政サービスや防災情報、運営委員のメンバーが、英語、中国語、ベトナム語、スペイン語、韓国語に翻訳した、ごみカレンダーなどを用意し、情報も充実させている。
会場には言葉が分からなくてもできるボードゲームが10種類以上置かれ、日本人と外国人が共にゲームを楽しんだ。また、国際交流プログラムとして、「本場仕込みの韓国キムチチヂミ」、「ベトナムの春巻き」の試食会なども行われた。
和歌山に来て約2年というインドネシアのハイカルさん(32)は「ゲームをみんなで一緒にやって楽しかった」、インドネシアから来日して3年のロビンさん(28)は「欲しいものがいっぱいあった。友達もできてうれしい」と笑顔だった。
この日は47人のスタッフの他、外国人23人、日本人62人が来場し、交流した。
中嶋さんは、県内在住の外国人を対象に困り事についてアンケートを取ると、上位に来るのが友達づくりだったと言い、「そのきっかけをつくる場として、このイベントは年に2回を目標に続けていきたい」と話している。