トラックに子どもの絵 野嶋運送がラッピングへ

トラックの背面に子どもが描いた絵をラッピングした「こどもミュージアムトラック」を走行する和歌山市西庄の㈲野嶋運送(野嶋利基社長)は、新たに3台へのラッピングを決め、子どもたちに絵を描いてもらうイベントを開催。同社がスポンサーを務めるフットサルチームのセットスター和歌山の子どもたちを招待し、共に交通事故のない社会を願った。

こどもミュージアムトラックは、大阪府茨木市の㈱宮田運輸で発生した死亡事故をきっかけに、事故を一件でも減らそうと同社が始めた取り組み。絵を見たドライバーに心のゆとりを持ってもらおうというもの。

トラックだけでなく、自動販売機、工事現場の防護シートなどに子どもたちの絵が採用され、優しさを広げる取り組みは全国に広がっている。宮田運輸によると、同社の事故率は4割減り、あおり運転をされることも少なくなったという。

運送や流通加工などを手掛ける野嶋運送は、この思いに賛同。6月に、県内3台目となる「こどもミュージアムトラック」を導入している。

この日、同社を訪れたのは、4歳から6歳の選手6人の他、選手でセットスタートップチームコーチの片渕裕子さん(40)、女子チームキャプテンの板谷かのあさん(21)、選手でスクールコーチの佐藤匠さん(33)。

一般社団法人こどもミュージアムプロジェクト協会の専務理事、後藤昌代さんが電子紙芝居を使って取り組みを紹介。命は一つしかかないこと、交通事故を一件でも減らせるよう活動していることを話し「みんなの絵やメッセージは、大人の人たちが笑顔になって優しい気持ちになる」と伝えた。

子どもたちは用意されたクレパスで、「こうつうあんぜん」の文字を書いたり、車や家族などを描いたり、伸び伸びと自由に表現。宮北小学校1年の佐藤凛杏さん(6)は「パパとママ、トラック、地域の見守り隊の人を描いた」と笑顔だった。

片渕さんは「子どもたちが命について考えるいい機会になりました。私たちも車を運転し県外へ遠征に行くので、交通安全を心がけたい」と話した。

野嶋社長(44)は「地域貢献は、わが社の理念。スポンサー契約を結ぶ相手と相互に交流することで交通安全の意識が広がることはもちろん、地域が明るく元気になればうれしい」と話していた。

野嶋社長㊧と、描いた絵を手に参加した子どもたち

野嶋社長㊧と、描いた絵を手に参加した子どもたち