意識高め詐欺防止 紀陽銀行員2人に感謝状
特殊詐欺被害を未然に防いだとして、和歌山東署は8日、紀陽銀行六十谷支店(和歌山市六十谷)の銀行員、吉田正子さん(48)と中村衣里さん(40)に感謝状を贈った。
同署などによると3日に同支店を訪れた50代の男性がネットバンキングへ100万円の振り込みを求めたため、窓口業務を行っていた中村さんが振込目的を確認。男性は「知ってる人だから大丈夫」などと、あいまいな回答をしたことから中村さんは詐欺被害を疑い、上司の吉田さんに相談した。
男性と仕切りのある空間に移動し、2人で詳細を聞いたところ、男性は「知り合いから高級なお茶を買った。今晩のオークションで100万円が900万円になるんや」などと説明したという。2人は詐欺を確信し、課長に相談。課長が同署に通報し、詐欺被害を未然に防いだ。
男性は6月29日にも10万円、7月1日には20万円を同様の方法で振り込んでいたが、7月1日の20万円については、振込先の口座が凍結されていたため、返金された。
署長室で行われた贈呈式で、中村さんは、男性が感謝していることを伝え聞いて喜び、「今後も年齢や金額にかかわらず、内容などを聞いて防いでいきたい」と話した。吉田さんは「警察からの指示もあり、みんなの意識が高かった」と振り返った。
同行東和歌山連合店東和歌山支店の安村直浩統括支店長(54)によると、同行では詐欺被害の事例共有などを積極的に行い、日頃から詐欺被害防止への意識を高めているという。
藤田和義署長は2人の勇気ある行動に感謝し、「引き続き、水際でお客さんの財産を守ってほしい」と呼びかけた。
7月末時点で県内のことしの特殊詐欺被害は62件、被害額は1億8473万8320円。同署管内では26件、被害額は1億1432万6270円に上る。