温室効果ガス削減新目標 県が30年度比46%に
脱炭素社会の実現に向け和歌山県は29日、2030年度の温室効果ガス排出量を13年度比で46%削減するとの新たな目標を発表した。
県は21年3月に策定した第5次環境基本計画で、30年度の排出量を13年度比で30%削減する目標を設定していたが、ことし公表した20年度実績で同31%削減が達成されたことから、目標を引き上げ、新たに設定した。
13年度の排出量1929万8000㌧に対し、20年度は1331万9000㌧に減少。このうち最も比率の大きい産業部門・鉄鋼業の排出量は945万㌧から587万㌧まで減っており、日本製鉄㈱関西製鉄所和歌山地区(和歌山市湊)の高炉休止の影響が大半を占めた。
温室効果ガス排出量のうち産業部門の割合は、全国平均が31%に対し、県は65%と高い。さらに産業部門のうち鉄鋼業が占めた割合は、20年度で68%に達する特徴的な構造となっている。
このため、新たな目標の達成には、産業部門での排出量削減が重要となる。産業部門の20年度の削減実績は13年度比29%で、新目標では45%削減を掲げている。
岸本周平知事は、鉄鋼業以外の産業部門で目立った削減実績はまだないことや、日本製鉄が脱炭素の取り組みに積極的であることなどから、「十分、目標は達成可能と期待している」と述べた。
県は、産業の他、運輸、家庭、業務の各部門で省エネ化などの取り組みを進めるとともに、森林整備の推進により、森林の温室効果ガス吸収による削減も図っていく。