オール和歌山ロケ映画 スレッズ・オブ・ブルー
全編和歌山県内で撮影された劇場公開映画『Threads of Blue(スレッズ・オブ・ブルー)』=シネメディア配給=が29日から和歌山市松江のジストシネマ和歌山で公開される。25日、宗野賢一監督(38)は主演の佐藤玲さん(31)とスーパーセンターオークワパームシティ和歌山店(同市中野)で記者会見し、「30分ごとに展開が変わる予想できないつくりになっている。まるで迷宮のような、遊園地のアトラクションのような感覚を楽しんでほしい」と呼びかけた。
同映画は悪夢をモチーフにしたサイコ・スリラー。家族が山道で交通事故に遭う夢を見た少女は不吉な予感に襲わる。正夢にならないよう家族旅行をやめさせようと説得するが、聞く耳を持たない。そんな中、同じマンションに住む老婆は「夢で見た交通事故はもうすでに起こった出来事だ」と少女に告げる。どういう意味なのか? 今いる家族は誰なのか?老婆の正体は? 緻密に張り巡らされた伏線や謎が複雑に絡み合う。
宗野監督は、『科捜研の女』『遺留捜査』『刑事7人』など人気テレビドラマを手掛け、サスペンスが得意ジャンル。非日常を表す独特な照明と、揺れるカメラワークで見ている人の不安をあおる演出も見どころの一つ。
今回は脚本、編集も担当した。「コロナで撮影所が封鎖され仕事がなくなったことがきっかけで脚本を書き始め、自殺者の急増など社会問題を盛り込んだエンタメ作品に仕上げた」という。和歌山をロケ地に選んだ理由は「モダンとレトロ、新旧入り混じった特定の時代を感じさせない不思議な空気感が魅力的で、作品のテーマにぴったりだった」と話した。
撮影場所は白馬寮(日高川町)、志賀職員住宅(日高町)、日高振興局(御坊市)、日高BHAスイミングスクール(同)、白崎海洋公園(由良町)や、和歌山市のスーパーセンターオークワパームシティ和歌山店、じゃんじゃん横丁、ぶらくり丁、手平の和歌山セレモ平安など。撮影は2年前の夏、2週間にわたって行われた。
じゃんじゃん横丁では不思議な集団が謎の儀式を行い、オークワパームシティは主人公がアルバイトをしている場所、ぶらくり丁は主人公の寂しい気持ちを表す場所として使われている。
主演の佐藤玲さんは、蜷川幸雄演出の舞台「日の浦姫物語」(2012年)でデビュー。映画、テレビ、舞台で幅広く活躍している。この日は東京からオンラインで会見に出席し、「和歌山のすてきな場所を撮影で使わせていただき、閉塞的な映画の内容にはなっているけど和歌山の魅力が詰まっていると思うのでぜひ見に来てください」とPRした。