紀の川市がガイド付タクシー 訪日客対象に

和歌山県の紀の川市は、観光地域づくり法人(DMO)「紀の川フルーツ観光局」(中山裕之代表理事)が地元タクシー会社と連携し、訪日外国人向けの通訳ガイド付きサービスを実証的に開始すると発表した。地方の観光では駅や空港からの二次交通が課題であり、その解決を目指す新たな取り組みとして注目される。21日にはモニターツアーを行う。

新サービスの名前は「Hoppin’ KINOKAWA(ホッピンキノカワ)」。市内在住の外国人や外国語を得意とする市民が通訳ガイドを担い、市民ならではの目線でガイドしながら、外国人観光客に市内周遊を楽しんでもらう。

市によると、来訪者や観光関係者らのヒアリングから、外国人観光客とタクシードライバーの双方が、言葉の壁を理由にタクシー乗車に不安を抱いていたことが分かり、ガイドが同乗することで、不安を払拭する新サービスを企画した。

住民目線のアットホームな雰囲気でのガイドを目指す。現時点の対応言語はタイ語、台湾語、英語で、サービス開始後はガイドの募集も予定している。

新サービスは「事業者協力型自家用有償旅客運送」を活用する。自家用有償旅客運送は、既存のバス、タクシー事業者による輸送サービスの提供が困難な場合に、地域の関係者が協議し、道路運送法の登録を受けて自家用車で運送ができる制度のこと。事業者協力型は同法改正で2020年11月に創設され、運行者や車両の整備管理で既存事業者が協力する形態となる。

今回の実証的な開始にあたり、㈱有交紀北(かつらぎ町)と協力し、本年度は利用者の受け入れを行いながら、モニターツアーを数回実施し、サービス内容の向上を図る。

21日のモニターツアーは、和歌山市内の日本語学校で学ぶタイの学生を対象とし、紀の川市在住のタイ出身者がガイドを務める。和歌山電鐵貴志駅や粉河寺などの観光スポットを巡り、フルーツのデザート、収穫体験などを楽しむコースを予定している。

紀の川市は「サービスが本格的にスタートできれば、地方観光地の二次交通、2024年問題など、交通業界の課題解決の一助となるのではないか」と期待している。

ホッピンキノカワの車両イメージ(紀の川フルーツ観光局提供)

ホッピンキノカワの車両イメージ(紀の川フルーツ観光局提供)