小学校にヘリサイン寄贈 土地家屋調査士会

公益社団法人和歌山県公共嘱託登記土地家屋調査士協会(吉田秀幸理事長)は、災害時に有効なヘリコプターでの救助、物資投下などの活動を行う際に上空からの目印となる「ヘリサイン」を、中之島、木本の和歌山市立2小学校の屋上に寄贈した。緯度・経度・標高のデータを持つ登記基準点にもなっており、位置情報が公開されることで、防災意識の向上、発災時のより迅速な活動への寄与が見込まれている。

ヘリサインは、ヘリコプターのパイロットが上空から目的地を確認できるよう、屋上に施設名を大きく記したもの。1文字は約4㍍四方で表示される。

災害時に活動するパイロットは、他府県から飛来するなど土地勘がない場合が多く、津波の被害が発生した際など、パイロットが渡された地図と被災地の上空からの視認が一致しない事態もしばしば発生する。ヘリサインは目的地を迅速に見つけることにつながり、災害時に生存率が大きく低下する人命救助のタイムリミットとされる72時間以内の円滑な救助活動への貢献など、有効性が広く認められつつある。

同協会は、先行していた高知県協会の取り組みを知り、現地視察やパイロットの証言を聞くなどしてヘリサインの寄贈を事業化。2017年度の有田市立港小学校を皮切りに、今回を含めて県内7市町、13カ所の学校に寄贈してきた。

ヘリサインにはペンキが使われる場合もあるが、和歌山県協会は、より耐久性が高く、視認性にも優れたシール素材を使用したヘリサインを設置している。

寄贈の受け入れと感謝状の贈呈式が市役所で行われ、同協会から吉田理事長、松波学常任理事、峯野賢治和歌山支所長が出席。尾花正啓市長が吉田理事長から目録を受け取り、感謝状を贈った。

吉田理事長は「南海トラフ地震の課題を抱える和歌山にあって、協会の業務である測量の技術と経験を生かした公益事業を研究してきた。今後も取り組みを県内に広げていきたい」と話した。

感謝状を手にする吉田理事長㊥ら県公共嘱託登記土地家屋調査士協会の皆さん

感謝状を手にする吉田理事長㊥ら県公共嘱託登記土地家屋調査士協会の皆さん