和歌山市民オペラ協会 「清姫」公演へ
和歌山市民オペラ協会(多田佳世子会長)の第26回定期公演が11日午後2時から、和歌山市七番丁の和歌山城ホール大ホールで開かれる。日高川町の古刹・道成寺を舞台とする安珍と清姫の物語が題材のオペラ「清姫―渡し場の段―」の上演と、道成寺伝説の魅力を語る講演の2部構成。日本の古典、オペラ、和歌山の文化をたっぷり味わえる公演となっている。
同協会は1994年に設立し、和歌山に根ざした高水準のオペラ制作を続け、県内外に発信する活動を展開している。昨年には、濱口梧陵を題材とした新作オペラ「稲むらの火の物語―梧陵と海舟」で第20回佐川吉男音楽賞を受賞。今回の公演は、受賞と設立30周年を記念するものとなる。
オペラ「清姫」は、道成寺伝説を扱った文楽「日高川入相花王」の現存する台本を基に制作された、全1幕の短編作品。安珍を追って日高川の渡し場にたどり着いた清姫が、蛇体に変じて川を渡る場面を描いている。
文楽、歌舞伎、能などが取り上げ、古くから人々の心をつかんできた物語であり、多田会長は「日本の伝統芸能で最高のものとして大切にされてきた題材が、無垢で美しく、胸が詰まるような音楽で表現されたオペラになっている」と魅力を話す。
演出・語りは多田会長、清姫役は井谷有紀さんが務め、蛇体の清姫として和歌山市の能楽師・松井彬さんも出演。演奏は和歌山市民オペラ室内管弦楽団、ピアノの宮井愛子さん、指揮は作曲者の野々垣惠信さん。
講演の講師は、同市出身で木ノ下歌舞伎を主宰する木ノ下裕一さん。現代における歌舞伎の古典演目上演の可能性を追求、発信する活動を続けており、「娘道成寺」は代表作の一つ。道成寺伝説が人々を魅了してきた理由などを語る。
チケットは前売り指定席4000円、自由席3000円(当日は各500円増)。同ホールなどで取り扱い。問い合わせは同協会事務局(℡073・460・2685)。