医食同源米の普及へ 東洋ライスが共同事業体
東洋ライス㈱(銀座本社=東京都中央区、和歌山本社=和歌山市黒田)は、健康成分を多く残した米を広めようと「医食同源米によって我が国の国難を解決するためのコンソーシアム(共同事業体)」を設立。14日、東京都内で設立総会と説明会を開いた。栄養価の高い米をより広く普及させることで、健康寿命を延ばし、医療や介護費の減少を目指す。
東洋ライスは、栄養とうまみが多く含まれる部分(亜糊粉層)を残す精米技術の開発など、人々の健康増進を目指し、数々の技術革新を行ってきた。
「医食同源米」とは健康成分が多く含まれるぬかの成分を残し、無洗米に加工され、おいしく食べ続けられる米のこと。とぎ汁が出ないことから環境への負荷も低く、すさみ町の小中学校の給食にも導入されている。
同団体の設立発起人の雜賀慶二社長(89)は、江戸時代の「江戸患い」、明治末期の陸軍における「脚気」のまん延と、精米機の変革時期が一致することにヒントを得て、玄米を白くし過ぎる「過搗精の白米」の流通が、医療費が膨張し続ける原因の一つにあると結論付けた。
玄米のビタミンやミネラルなどの栄養分を精米加工で取り去っていたことが不健康の主因なのではないかと考え、コンソーシアムの展開で栄養成分を残した米を全国に広めようと、ことし4月から幅広い分野に働きかけを行ってきた。現在、地方自治体、学識経験者、生産者、精米や流通、外食業者、消費者など、472の個人・団体が賛同し会員になっている。
医食同源米の普及により、医療費の大幅な削減、子どもや妊婦の健康度を高めるとともに少子化を防止、健康寿命の延伸で介護費を減少、米の消費量増による食料自給率向上、生産農家の意欲アップなど、国難の解決を目指す。
設立総会で雜賀社長は「玄米をおいしく食べやすくしようと精米すればするほど栄養素が減っていく。栄養素を残そうとすると、おいしさは減っていく。われわれ精米メーカーはいかにそれを両立させるかを研究し、約20年前にそれができた。健康増進につながる米を大勢が毎日食べるといろんな国難がぐっと下がると思うので、みんなで協力して推進していきましょう」とあいさつ。
東洋ライスと健康増進を核とする包括連携協定を締結している大阪府泉大津市の南出賢一市長が、栄養価の高い同社の米を同市の学校給食に取り入れていることや、妊婦に出産までの期間、「マタニティ応援プロジェクト」として届ける取り組み、健康づくり推進条例の制定などを紹介。
その他、中村学園大学短期大学部(福岡県)の森脇千夏管理栄養士・博士(医学)が、医食同源米による実証研究「新型コロナ及びインフルエンザ罹患率の低下」について報告した。
今後、同団体は医食同源米を活用した施策の展開や健康への有益性の周知など、会員がそれぞれの分野で普及に向け、活動を行っていく。