伝統を誇りに 海南下津高生が最後の弁当販売

和歌山県内公立高校唯一の女子高で、卒業と同時に調理師免許が取得できる、海南市立海南下津高校(柳和希校長)の生徒が15日、60食分の弁当を作る「集団給食」を実施。同市の道の駅、海南サクアスで最後となる弁当販売をした。

集団給食は、授業の一環で大量調理や衛生管理、チームワーク、段取りなどを学ぶ総合調理実習。同校は来年3月で閉校となり、17年続いた一般販売はこの日が最後となった。

この日の献立は主菜の「チキン南蛮」と「イタリアンスパゲティ」「ひじきの白和え」「玉子焼き」「さつまいもの煮物」の副菜4品。献立作成担当の古川穂香さん(17)は「自分も好きで人気のあるチキン南蛮にした。濃過ぎず薄過ぎずちょうど良い味付けにし、旬の野菜や彩りを考えた」と話した。

生徒は午前9時から調理を開始。カロリーや原材料名が書かれた手作りの掛け紙を弁当一つずつに巻き、サクアスへ運搬し店頭に並べた。

11時半に販売開始。すでに買い求める人で列ができており、15分ほどで売り切れた。和歌山市栄谷から休みを取り買いに来たという石井明美さん(59)、美帆さん(31)親子は、ともに同校の卒業生だといい、美帆さんは「私も集団給食を経験した。前日から準備するなど、3年間楽しかった思い出がある」、明美さんは「海南方面に来るとワクワクする。買えて良かった」と笑顔。

古川さんは「たくさんの人が並んでくれてうれしい。もうちょっとやりたかったけど、みんなと協力できて楽しかった。身に付けたことを生かしたい」とにっこり。柳校長は「最後と思うと胸に込み上げてくるものがある。先輩たちの伝統が受け継がれてきたのだという思いがした。よく頑張ってくれた」と話した。

 

弁当を買い求めた卒業生の石井さん親子㊧