鼓舞し生まれた逆転劇 髙嶋名誉監督が講演

智弁和歌山高校野球部名誉監督の髙嶋仁さん(77)の講演会(トヨタカローラ和歌山㈱・大樹生命保険㈱主催)が、和歌山市七番丁の和歌山城ホールであり、髙嶋さんが2006年夏の甲子園準々決勝、帝京戦での逆転劇の裏話、指導上の重点などについて語った。

髙嶋さんは智弁学園高校(奈良)の監督を経て、1980年に智弁学園和歌山高校の監督に就任。94年春の選抜で甲子園初優勝を飾り、夏の選手権では、97、2000年に全国制覇。第100回選手権後に監督を引退し、同校と智弁学園高校の名誉監督に就任している。

髙嶋さんは講演で、智弁和歌山の監督就任当初は「箕島を倒して、甲子園出場」を掲げ、部員不足の弱小チームから始動したと紹介。その後、甲子園常連校になったことについて、「監督が良かったから強くなった」と話し、会場の笑いを誘った。

06年、準々決勝・帝京戦の9回表に8失点を喫して逆転を許し、裏の攻撃で5点を奪ってサヨナラ勝ちを収めた内容についても振り返った。最終回の攻撃を前に、「駒大苫小牧の田中のマー君(現東北楽天ゴールデンイーグルス・田中将大投手)をやっつけるために、1年間苦労したんとちゃうんか。じゃあここでひっくり返さんと!」と選手らを鼓舞して生まれた大逆転劇だったと説明。「あの甲子園で、ああいう試合を和歌山のチームにやってほしい」と期待した。

高校野球の監督としては、選手の将来を見据え、勉強や常識、あいさつ、言葉遣いなどの指導に重点を置いていたと話した。「世の中に出て一番大事なのは、怒られたときの態度」とし、「謙虚さが選手、指導者ともに大切」と伝えた。

講演の後に行われた司会者とのトークショーでは、「人間が人間を動かす最大の武器は言葉」と話し、「髙嶋さんにとって野球とは」の質問に「人生そのもの」と締めくくった。

 

大逆転劇について語る髙嶋名誉監督