南高梅加工場が最優秀 きのくに建築賞決定

和歌山県内の優れた建築物を顕彰する「第7回きのくに建築賞」の最終審査が和歌山市吹上の県立近代美術館2階ホールであり、最優秀賞に、みなべ町の「紀州高田果園 南高梅加工場」が輝いた。珍しい木造のビニールハウスで、アーチ状に組まれた美しい構造などが評価された。紀州材賞にも選ばれ、ダブル受賞となった。

県建築士会などでつくる、建築三団体まちづくり協議会(谷岡拓会長)が主催。建築物とそれに携わった人の志に光を当て、和歌山の建築文化の向上と、魅力的なまちづくりに寄与することを目的に、2016年に創設された。

13年以降に完成した県内の建築物が対象で、14件の応募があった。建築史家の倉方俊輔さん、本紙でも連載する同市出身の建築家・広谷純弘さんら5人が審査を担当。書類選考と事前の現地審査により、5件を選定。この日は設計者らがプレゼンテーションし、公開で審査を行った。

最優秀賞に選ばれた紀州高田果園 南高梅加工場は、ビニールハウス棟、貯蔵・漬け込みタンク棟で構成。地元のスギやヒノキをふんだんに使用している。

審査員からは「建築家の能力が美しさに昇華されている」「地域経済、資源環境のサイクルにもつながる」「和歌山にふさわしい意義深い建物」などと高い評価を受けた。

建築主で、㈲紀州高田果園の高田智史代表取締役(66)は「加工場は鉄骨で造られたものが多いが、環境に優しいもので、地元の木を使って実現したかった。今回、社員も一緒になって新しいものを造れたことが非常に良かったです」と受賞を喜んだ。

審査結果は次の通り(順に建築主、設計者、施工者)。

【最優秀賞・紀州材賞】紀州高田果園 南高梅加工場(みなべ町)=紀州高田果園代表取締役・高田智史、無有建築工房・竹原義二、下山建築設計室・下山聡、池清組

【優秀賞】海南の家(海南市)=個人、I Live田辺弘幸建築設計事務所・田辺弘幸、㈱赤土建設

【佳作】A GIRLS本社ビル(和歌山市)=㈱エイガールズ代表取締役社長・山下智広、㈱設計組織アモルフ・竹山聖、㈱淺川組▽崖荘(白浜町)=LIB㈱代表取締役・高見由香里、㈱ニンキペン一級建築士事務所・今津康夫、リノベる㈱・山下智弘、リノベる㈱▽大谷法律事務所(和歌山市)=大谷惣一、一級建築士事務所田所克庸建築設計事務所・田所克庸、大伸住宅㈱

最優秀賞の「紀州高田果園 南高梅加工場」

最優秀賞の「紀州高田果園 南高梅加工場」