南方、神保さん市長賞 障害理解のポスター
障害の有無にかかわらず誰もが住み良い安心安全な社会づくりを目的に和歌山市が募集した2023年度「障害の理解・啓発ポスターコンクール」の入賞作品が決まり、最高賞の市長賞に、ヘルプマーク部門で南方麻那さん(4)、聴覚障害者への配慮部門で市立和歌山高校2年の神保美良さん(17)の作品が選ばれた。
ヘルプマークは、義足や人工関節の使用、内部障害や難病、妊娠初期の人など、外見からは分からないが、援助や配慮を必要としていることを周囲に知らせる。援助を得やすくなるよう手助けするもので、社会へのさらに広い周知が求められている。
聴覚障害は、音や声が聞こえない、または聞こえにくい障害で、聞こえには個人差があり、不自由になった年齢などによってコミュニケーション手段も違ってくる。手話が主なコミュニケーション手段の人もいれば、筆談の方が有効な人もいて、目で見て分かる情報の提供が必要となる。
同コンクールは、こうした障害に関する正しい理解を社会に啓発するため、17年度から市内在住か通勤・通学している人を対象に作品を募集している。
今回は61点(ヘルプマーク部門39点、聴覚障害者への配慮部門22点)の応募の中から、各部門で市長賞1点、優秀賞2点(一般、中学生以下各1点)、特別賞1点を選んだ。
南方さんの作品は、ヘルプマークを手にした笑顔の2匹のウサギを中心に、四つ葉のクローバーやハートマークを周囲に飾り、「きづいてくれてありがとう」の言葉を添え、オレンジ色を主体に暖かな色合いに仕上げられている。周囲の人の助けに支えられている感謝の気持ちを表現したという。
神保さんの作品は、声で発する「ありがとう」、紙に書いた「ありがとう」、手話の「ありがとう」をほぼ同じ大きさで画面に書き込み、言葉の表し方はさまざまでも、全て同じ「ありがとう」であることを伝えている。
神保さんは「声だけで伝えることが一般には多いかもしれないが、いろんな伝え方があることに気付いてもらいたい」と話していた。
表彰式は17日、市役所で行われた。尾花正啓市長は「それぞれの作品から、温かい気持ちで作ってくださったことが伝わってくる。まだまだ普及していないヘルプマークのことなど、作品を通じて多くの皆さんに知ってもらいたい」と受賞者をたたえ、一人ひとりに賞状と、それぞれの作品をプリントした記念のマグカップを贈った。
市長賞の2人の作品は、障害啓発事業のポスターに採用され、市の公共施設や障害福祉サービス関連機関などに配布する。入賞作品は22日から、市役所東庁舎に展示される。
市長賞以外の入賞者は次の皆さん。
【ヘルプマーク部門】優秀賞・一般の部=上田直矢(23)▽同・中学生以下の部=谷口煌介(8)▽特別賞=江川龍馬(25)
【聴覚障害者への配慮部門】優秀賞・一般の部=成田コウ(17)▽同・中学生以下の部=橋中いのり(11)▽特別賞=出口和樹(15)