ボスニア・ヘルチェゴビナ名誉領事に 長井さん
東欧ボスニア・ヘルツェゴビナの在和歌山名誉領事に、プラム食品㈱(上富田町生馬)会長の長井保夫さん(74)が就任することが決まり、23日、同国外務省のズラタン・ブルジッチ大臣官房長、マト・ゼコ駐日特命全権大使が来和し、和歌山市内に設置された名誉領事館で任命書の授与式が行われた。
ボスニア・ヘルツェゴビナは旧ユーゴスラビア連邦を構成していた共和国の一つで、連邦の崩壊と同国独立に伴って勃発した民族紛争を経て復興を遂げ、現在はEU(欧州連合)加盟候補国。木材業や鉱業、繊維業などが盛んで、欧州では珍しい飲用できるおいしい水でも知られる。復興に対し日本が大規模な支援を行ったことなどから、日本に親近感を抱く国民が多いといわれ、人口は約323万人。
長井さんは、共通の友人を介してシニシャ・ベリャン前駐日大使と知り合い、日本との交流推進についてベリャン氏から相談を受け、協力するなど親密な関係を築いてきた。
中でも、すさみ町と同国イェゼロ市を仲介し、両国の自治体間で初の姉妹都市提携を2022年6月30日に実現した功績は大きく、同7月1日には和歌山大学と東サラエボ大学の大学間協定の締結にも尽力した。
長井さんが両国友好に果たした多大な貢献から、同国は名誉領事任命を決定。在和歌山名誉領事館の管轄区域は三重を含む近畿の2府5県で、県庁所在地の和歌山市に設置することになり、プラム食品と長年の取引関係にある㈱フリゴの和歌山第一物流センター(同市中)内に設けられた。
任命書授与式にはブルジッチ大臣官房長、ゼコ駐日大使ら同国外務省関係者、県の岡澤利彦国際担当参事、和歌山大学の中元一惠国際交流課長らが出席し、祝福。ブルジッチ大臣官房長と長井名誉領事が名誉領事館の看板を同センター入り口に設置し、開設を宣言した後、館内で任命書の授与が行われた。
イェゼロ市のスネジャナ・ルジチッチ市長から祝福のメッセージを刻んだプレートが届けられるサプライズもあり、長井さんは「人の出会いは不思議で、これだけ多くのものを結んでいくのかと感じている。(両国の)子どもたちの交流を進め、若い人を育成し、留学先に和歌山を選んでもらえるようにしたい。微力だが、交流が活発になるようお手伝いができれば」と語った。
ゼコ大使は「両国は遠く離れているが、イェゼロ市とすさみ町の住民はすでにお互いを近く感じている。名誉領事館の設置をきっかけに、日本とりわけ和歌山の人々との絆がつながればと思う。もっと多くの日本の皆さんに、ビジネスや観光でボスニア・ヘルツェゴビナに来ていただきたい」と期待を寄せた。
式典の後、ブルジッチ大臣官房長、ゼコ大使、長井名誉領事らは県庁の岸本周平知事を訪問し、名誉領事館の開設を伝え、同国と和歌山の交流の推進に向けて意見交換した。