わかやまジビエ身近に シェフが料理伝授
和歌山県内で捕獲されるイノシシやシカの肉「わかやまジビエ」について学ぶ県の出前授業が5日、和歌山市加太の加太中学校で行われ、1~2年生29人がイノシシ肉を使ったメニューの調理方法を学んだ。
県では2017年度から、地産地消の取り組みの一環として、県内の小中学校などの給食食材にジビエを提供している。本年度の出前授業は県内12の小中学校で実施。わかやまジビエの話の他、調理実習、クラフト作りなどの体験教室を開き、わかやまジビエをより身近に感じる機会へとつなげている。
この日は授業の初めに、県畜産課の松山真也さんがわかやまジビエについて説明。これまでは猟師が必要な分だけ捕獲していたが、最近は猟師が減ったため必要な量よりはるかにイノシシやシカが多く、農作物への被害の大きさから捕獲する必要があると解説。「ジビエは脂肪分が少なく、高タンパク、低カロリーでビタミンや鉄分が豊富に含まれている和歌山で取れるおいしい食材の一つだと知って親しんでほしい」と伝えた。
調理実習では、県調理師会の会長で、同市のフランス料理店JOY味村のオーナーシェフ味村正弘さん(71)が講師となり、作りやすく食べやすい「イノシシ肉のトマトソース煮」を教えた。ボイルして一口サイズにカットしたイノシシ肉を使い、タマネギ、ブロッコリー、シメジを炒め、トマトソースで煮込む。味村シェフは、タマネギのみじん切りのこつを教え、「味見をして足りなければ塩、コショウで味を調えるように」と説明すると、「分からない」という生徒に、自ら味見をして「オッケー。おいし過ぎる」と笑顔。
約1時間かけて料理を完成させ、生徒らは持参した弁当と一緒に出来たての料理を楽しんだ。
1年生の阪口樹紀さん(13)は「給食でジビエのビーフシチューを食べたことがある。家ではお母さんがイノシシ肉のしゃぶしゃぶを作ってくれて、おいしいことを知っている。きょうは調理が簡単だった」とにっこり。
2年生の柳室姫那さん(14)は「ジビエはスーパーで売っているイメージがなく、家で食べたことがない。自分にとって遠い存在だったけど、料理してみて身近なものに感じた」とおいしそうに味わっていた。
味村シェフは、「きょうは子どもが好む味にしたが、店ではソテーにするなど食べ方のバリエーションはいろいろある。家でもぜひ作ってほしい」と話した。