「持ち直し」の動き続く 県内1月経済情勢

和歌山財務事務所は、2024年1月判断の県内経済情勢報告を発表。総括判断は前回(23年10月)と同じ「持ち直している」とし、項目別の判断でも、主要3項目の個人消費、生産活動、雇用情勢のいずれも据え置きとした。

情勢報告は、個人消費や設備投資など9項目の基調判断を総合して総括判断を行っている。

個人消費の判断は「持ち直している」。百貨店・スーパーは、温暖な気候で冬物の需要が低調だった衣料品で販売が減少している一方、飲食料品で堅調。コンビニエンスストアは、価格上昇の影響により低価格帯商品の売上が増加している。ドラッグストアは化粧品や医薬品の売上が増加しており、家電大型専門店は、季節商品の売上が好調で、前年を上回っている。

生産活動は「持ち直している」。機械工業は国内需要が堅調で、生産状況は安定している。化学工業は、中国経済の減退による需要の減少など一部に弱さがみられるものの、堅調に推移。鉄鋼業はエネルギー関連製品の需要が底堅く、自動車向け製品も回復傾向となっている。

雇用情勢は「持ち直しつつある」。23年11月の有効求人倍率(季節調整値)は前月より低下しているが、新規求人数(同)は、3カ月平均では前期比でおおむね横ばいとなっている。

企業などの声では、「コロナの影響がなくなった夏以降、客数、売上ともに前年比で増加が続き、ランチはコロナ禍前以上の売上になっている」(飲食店)、「前年同期比で、化学製品の出荷数は中国経済の減退などにより減少している一方、原材料価格上昇分の一部を販売価格に転嫁し、出荷金額は増加している」(経済関係団体)、「慢性的な人手不足で、特に高卒・新卒の採用に苦戦している。工場稼働率は高いが、これ以上受注が増えると従業員の負担が大きくなってしまう」(金属製品)などがあった。

先行きについて和歌山財務事務所は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって持ち直していくことが期待されるとする一方、世界的な金融引き締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが景気を下押しするリスクとなっていると指摘。物価上昇、中東地域を巡る情勢、金融資本市場の変動、能登半島地震の影響などに十分注意する必要があるとしている。

県内経済情勢の主要項目の判断(1月)

県内経済情勢の主要項目の判断(1月)