貴志川線の未来をつくる会 地域再生大賞に
和歌山電鐵貴志川線の存続に尽力し、長く運営をサポートしている市民団体「貴志川線の未来を〝つくる〟会」(木村幹生代表)が、第14回地域再生大賞で最高賞の大賞を受賞した。22日、和歌山電鐵は受賞を記念するプレートを同線和歌山駅ホームに設置し、除幕式を行った。
つくる会は、2004年に南海電鉄が貴志川線の運行から撤退を表明したことを受け、同線の存続を図るために沿線住民らを中心に発足し、現在の会員数は約1600人。
06年4月に運行を引き継いだ両備グループの和歌山電鐵(小嶋光信社長)と協力し、黒字経営の目安となる年間乗客数の獲得を目指す「チャレンジ250万人」を掲げ、乗客アップのためのイベント開催、同社主催イベントへの協力、駅施設の清掃をはじめとするボランティア活動など、住民主体の運動を20年にわたり続けている。
地域再生大賞は、地方新聞47社とNHK、共同通信社による実行委員会が主催。地域に活気を与え、魅力を高める活動に取り組み、成果を上げた団体を応援することを目的に、2010年度からNPOなどの優れた活動を表彰しており、県内からの受賞はつくる会が初めてとなった。
表彰式は15日、東京都内で行われ、選考委員長の沼尾波子東洋大学教授は、つくる会の取り組みを「廃線の危機に立ち向かったローカル鉄道の地元住民による活動が際立つ」と高く評価した。
除幕式には木村代表、小嶋社長、ニタマ駅長らが出席。貴志川線ファンや利用客、外国人観光客らも見守る中、「祝・大賞受賞」などと記されたプレートがお披露目された。
木村代表は、つくる会による貴志川線の存続運動が広がり、両備グループが運営を引き継ぎ、たま駅長の就任、多彩な観光列車の誕生などで全国に広く知られるようになった20年の歩みを振り返り、「孫子の代まで貴志川線が走り続けてほしいと活動する私たちを、ものすごくたくさんの人が応援してくださった」と感謝。「貴志川線そのものが、海外からもたくさんの人が訪れる和歌山の大切な観光地となった。絶対になくしてはならないと思っている」と、公設民営による永続化を目指して、今後も活動に取り組む強い思いを語った。
小嶋社長は「地方鉄道が存続するには、地域の熱烈な応援が必須の条件。つくる会の皆さんはそれを身をもって体現されている。つくる会は私たちにとって、ボランティアということではなく、大切なパートナーだと思っている。今後も共に取り組んでいきたい」と話した。