和歌山看護専門学校 最後の卒業式

和歌山市西庄の和歌山看護専門学校は、最後となる卒業式を5日、同市小松原通の県民文化会館で行い、33年の歴史に幕を閉じた。

同校は1991年に県病院協会が開校。県内病院の看護師育成に努め、2年課程(通信制)と、3年課程合わせて2343人を送り出してきた。

同校は4年制の大学志向が強まっていることから2021年、4年制看護学科設立に向け、同市中之島の宝塚医療大学和歌山保健医療学部を運営する平成医療学園に事業を引き継いだ。

それに伴い、閉校を前提として21年度の入学生の受け入れを最後に学生募集を停止。同大学は22年度に看護学科を開設した。

式では卒業生34人一人ひとりが名前を呼ばれ、岸岡史郎学校長から卒業証書を受け取った。

岸岡学校長は「学校はきょうで幕を下ろしますが、今後どの道に進んでも本校で学んだ経験はこれからの皆さんの人生における軸として、心のよりどころとして残っていくと思う」と式辞。

岸野雅方理事長は「学校は廃止となりますが、地域の看護師養成にかける思い、理念をしっかり引き継ぎ、より良い教育が行えるよう今後も一層努力を続けていきます。卒業生皆さんの学籍、思い出全て宝塚医療大学和歌山保健医療学部で永久に保管させていただきます」とあいさつ。

卒業生を代表して畑山楓花さんが「新型コロナの影響で、実習では患者さんと関わる時間を減らし距離を保っておくよう求められ、フェイスシールドを着用しコミュニケーションを取るのは大変でした」と振り返り、「母校が閉校になるのはふるさとの一部をなくすような感覚ですが、この先悩んだり壁にぶつかった時は、心の中で生き続ける学校の理念を思い出し、乗り越えていきたいと思います」と涙を流しながら惜別の言葉を述べると、会場には卒業生のすすり泣く声が響いた。

榊原杏奈さんは「母校はなくなっても、同じ夢を持ち支え合いながら学んだ仲間とはこれからもずっとつながっている」と話し、廣田夏琳さんは「最後の卒業生として恥じないよう患者の思いに寄り添える看護師になります」と決意を見せた。

 

岸岡学校長㊨から卒業証書を受け取る学生

 

惜別の言葉を述べる畑山さん