暖冬と雹の影響受ける「青梅」
前号まで、規格外のイチゴを使った、家庭で楽しめる数々のお菓子を取り上げた。6月に入り、イチゴの姿を見る機会は少なくなり、今は青梅が最盛期を迎えている。
ことしは暖冬の影響で着花が悪く不作である上に、3月の雹(ひょう)害により、大きな痛手を受けている。
店頭で青梅を見ると価格は例年より2割から3割高い。果実に傷やへこみがあるものは、そうでないものより安価で販売されているが、消費者の目は厳しいようだ。今週は「雹」が発生する気象と青梅への影響について紹介したい。
梅の産地である県中部・南部で雹が降ったのは3月20日。午前10時ごろから夕方にかけて断続的に降り、大きいものでは1㌢程度あったという。
雹の元になる氷の粒は、地表付近の水蒸気が上昇気流で上空に運ばれ、冷やされることにより発生する。積乱雲の内部で水蒸気が氷になり、上昇気流により雲の中で大きくなったものが溶けずに地表に落下。直径が5㍉以上の氷を雹、直径5㍉未満の氷を「霰(あられ)」と呼ぶ。主に春や秋に発生する。
果実に傷はあるが、加工品への影響はどうか。梅干しは傷口が硬い浸け上がりになる可能性はあるが、味には大きな問題はなく、梅酒やジュース、ジャムについては問題がないという。店頭ではその旨が記載されたリーフレットが配布されるなど、理解を求めている。
遠方への出荷やスーパーなどでの販売が難しいものが、地元の産直市場などで多数販売されている。地産地消だからこそできる梅農家の応援。県民が協力してこの苦難を乗り越えたい。
加工品の作り方については、2023年7月9日付、16日付、30日付の本コーナーで紹介。本紙ウェブサイトからも閲覧できる。
(次田尚弘/和歌山市)