かわいらしい見た目の「摘果メロン」
前号では、暖冬と雹(ひょう)の影響を受ける「青梅」について取り上げた。産地だからこそできる消費者の活動として、この時期に出回る「摘果(てきか)メロン」と、その活用法について紹介したい。
摘果メロンとは、メロン栽培の過程で間引かれた果実のこと。メロンは種をまいてから収穫までおよそ120日間を要する。苗木1本あたり20枚程度の葉が付き、その中から3本の側枝(わき枝)の雌花に交配し、3個できる小さなメロンから一つを選び残し、その実に全ての養分が集中するようにする。その作業のことを摘果といい、間引かれた小さな果実を摘果メロンという。このような摘果の作業は、主に「アールス(マスクメロン)」と呼ばれる高級品種で行われる。
紀中地域で栽培されるマスクメロンについては、以前(2023年8月20日付)このコーナーで紹介の通り。おさらいしておくと、メロンはウリ科の一年生植物。インドが原産で、紀元前2000年ごろから栽培が始まったとされる。農水省統計(2016年)によると、県内の収穫量は全国39位、出荷量は122㌧と少ないものの、一定数栽培されている。
摘果の作業は、5月下旬から7月上旬にかけて行われ、この時期になると、農家の庭先や産直市場などで見ることができる。筆者は御坊市で摘果されたものを産直市場で購入した。
果実の形は縦長をしており、サイズは大きいもので全長10㌢程度。メロン特有の網目はなく、ウリ科の植物であることに納得させられる見た目である。
中身を見てみると、大きく成熟したメロンと同様で、中心にたくさんの種がある。食し方としては、キュウリのように浅漬けにするのが一般的。その味わいはいかに。次週に続く。
(次田尚弘/和歌山市)